【Davos Course】AO Trauma Masterclass—Experts’ Strategies for Complex Cases 参加者レポート Davos, Switzerland, 2025/12/08~11 河村 季生 先生 (筑波大学大学院)

この度、スイス・ダボスで開催された上記コースに参加する機会を頂きましたので、その内容をご報告いたします。本コースはダボスにおけるマスターコースの中で唯一、遺体を用いた実習が含まれないプログラムであり、期間は他のコースより一日短い四日間にわたり行われました。

各セッションは、各分野の超エキスパートであるFacultyが提示する実際の症例に基づき、6名程度の少人数グループで治療方針を討議した後、全体でさらなる討論を重ねるという形式で進行しました。各グループには専門医取得前後の若手からベテランまで幅広い層が世界各国から集まっており、提示された症例の実際に行われた治療とその経過を確認しながら、検討が繰り返し行われました。

扱われたテーマは四肢外傷を網羅しており、大腿骨遠位部骨折や人工関節周囲骨折、骨盤輪寛骨臼合併骨折、大腿骨複合骨折、脛骨プラトー後外側骨折、骨欠損、骨折関連感染症(FRI)、Terrible Triad Injuryなど、エキスパート間でも判断が分かれる難治症例が多数用意されていました。参加者の間でも意見が割れる場面が多く、国や年代によっても治療哲学の違いがみられ、議論は非常に刺激的でした。また、自身の治療アプローチが世界水準とどの程度乖離しているかを客観的に把握する貴重な機会となりました。さらに、自分の中にはなかったアイデアやアプローチに触れることで術者としての視野が広がったと感じる場面も多々ありました。一方、自身の治療哲学を即座に英語で言語化し、議論を深めていくことの難しさを痛感し、日頃の討論の重要性をも感じました。

四日間にわたる集中的な議論は非常に体力を要しましたが、Controversialな領域における深い思考プロセスを共有し、最新の知見を深めたい者にとっては極めて有意義な内容でした。コース内で親しくなった同年代の他国の参加者と夕食を共にするなど、海外のコースでしか味わえない国際交流も経験でき、非常に有意義な時間となりました。このような機会を与えて下さった関係者の皆様に深く感謝申し上げます。