AO Trauma/AO Recon Course—Comprehensive Periprosthetic Fracture Management of the Hip and Knee 参加者レポート 名古屋, 2025/11/06〜08 平野 優樹 先生 (新潟大学)
この度、2025年11月6日から8日の3日間、名古屋で開催されたAO Trauma/AO Recon Course—Comprehensive Periprosthetic Fracture Management of the Hip and Kneeを受講させて頂きました。Chair Personの伊藤雅之先生にお声がけ頂き、大変感謝しております。本コースは、1,2日目は10-20分程度の分野別講義と5人ほどの小グループに分かれてのケースディスカッションを行い、3日目は名古屋市立大学にて4人ずつのグループに分かれて解剖実習を行いました。
まず、私が本コースを受講するにあたり意識したことがあります。著名な先生方の講義は勿論しっかり吸収したいと思いましたが、グループディスカッションで今まで行ってきた自分の評価法や方針、考え方が間違っていなかったかという事を確認するために積極的に意見を述べたいと考えていました。伊藤雅之先生のオープニングリマークスで始まり、講義ではまず大腿骨インプラント周囲骨折に関して、Stoffel先生の最新のアルゴリズムを中心にBaba分類を絡めての評価・治療方針を実際の症例を交えながら説明して頂きました。シンプルな症例から我々が悩むであろう症例を数多く提示していただき、非常に勉強になりました。寛骨臼再建に関しては、澤口先生にCup supporter (KT Plate)の特徴、設置のポイントを丁寧に解説頂き、非常に良好な成績であることもご教示頂きました。周術期管理についても各先生方から講義を頂き、手術だけでなく包括的な治療が大切だと改めて感じました。

グループディスカッションでは5人の小グループに分かれて、実際の症例に対し評価して方針を決定していくという流れでした。講義でも提示されていたようなシンプルな症例から悩ましい症例まで数多くの症例を時間の許す限り議論し合いました。Facultyの先生方も言われていたことですが、同じ画像でも患者の年齢やADLが違えば方針も変わってくる可能性があることは自分も意識していたので「正解」は無い症例も少なからずあると改めて感じました。私は股関節外科医ということもあり、他の先生方よりも再置換に重きを置いている印象でした。

また、2日目の最後に参加者からの症例提示・相談の時間があった際に、恐縮ながら2症例提示させて頂きました。2例ともに結果的には上手く治療できた症例でしたが、県内の股関節班内で意見が割れた症例でした。著名な先生方の前でプレゼンする機会を与えて頂き、そして貴重なコメントまで頂き大変感謝しております。
3日目の解剖実習では4、5人の小グループに分かれて、それぞれ1-2人のファカルティの先生がついて下さり、私の班は澤口先生につきっきりでご指導いただきました。5-10分の動画視聴をしてから、その手技をCadaverを用いて再現するという流れでした。まず、側臥位でKocher-Langenbeckアプローチから始まり、後柱のプレート固定、寛骨臼骨欠損への自家骨移植してセメントレスカップ設置、Extended Trochanteric Osteotomy(ETO)、大腿骨モジュラーステム設置、続いて仰臥位で逆行性髄内釘、大腿骨遠位内側展開、Distal Femur Plate設置(MIPO)を行いました。澤口先生から細かいTipsとPitfallを丁寧にご指導頂きました。特に印象的だったのは、非常に丁寧な手技と軟部組織を大事にしている点でした。上記手技に限らず全ての手技、手術に通じるものを学ばせて頂きました。そうしたスキルが講義で報告されていた臨床成績に繋がるのだと感じました。

私は初めてAO Recon Master Courseに参加させて頂きましたが、講義、討論、解剖と非常に内容の濃い、有意義な3日間でした。是非また参加したいと思います。 最後になりますが、Chair personの伊藤雅之先生はじめ、Facultyの先生方に感謝申し上げます。