AO Trauma Course – Basic Principles of Fracture Management 参加者レポート 東京(両国), 2026/2/12~2/14 髙村 優希 先生 (佐世保共済病院 整形外科)

この度、2026年2月12日~14日に東京で開催された「AO Trauma Course –Basic Principles of Fracture Management」に参加いたしましたので、ご報告させていただきます。

 現在、私は整形外科専攻医4年目で先月専門医試験を受験したばかりです。九州大学整形外科医局に所属し、九州大学病院ならびに九州内の関連病院で勤務してまいりました。各施設において骨折症例を中心に執刀の機会をいただく中で、AO Trauma courseを受講し、AOに所属されている指導医の先生方からでご指導を受ける機会もありました。これまで自らが主として執刀してきた骨折治療について基本に立ち返り体系的に整理したいと考え今回Basic courseの受講を希望しました。

 コースは朝から夕方(時には夜)まで外傷治療漬けの3日間であり、その内容は濃密なものでした。構成は大きく分けて、講義、ハンズオン(AO skills Lab・Practical exercise)、少人数でのSmall group discussionの3本柱でした。

 1日目の講義では、ベーシックコースということもあり、骨折治療の歴史や骨折治癒過程の基礎医学的な内容、さらに骨折治療の原則やインプラント固定の基本的な考え方を学びました。事前学習動画と重複する内容もありましたが、復習として理解を深めることができました。続くAO skills Labでは、講義で学んだ理論をボーンモデルやインプラントモデルを用いて実践的に体験しました。10か所のブースが設けられ、各ブースで担当の先生方の指導の下、骨折の作成や、ネイル径やスクリュー位置によって固定方法の違いによる安定性の変化を実感することができました。また普段感覚的に行っていたスクリューの締結力やドリリング時の発熱量を実測値として把握したことも印象的で、自身の手技を客観的に見直す貴重な経験となりました。

 1日目の午後からはPractical Exercise (PE) とSmall group discussionが始まりました。PEは3日間で計8回行われ、同じテーブル、同じペアの先生と最終日まで取り組みました。全体向けの説明の後、各テーブルにTable instructorの先生がつき、自分たちが実際に取り組んでいる際に直接ご指導していただけました。様々な部位のボーンモデルを用いて色々な固定方法に取り組む中、Table instructorの先生方とは距離が近い分、日頃の疑問点についても気軽に伺ったりすることもでき大変有意義な時間が過ごせました。2日目午後に行われたコンテストでは、ペアの先生とともに1つの治療を完成させる経験もでき良い思い出となりました。

 Small group discussionでは、2名のFacultyの先生方と約10名の参加者で骨折の診断・分類、そして治療方針について徹底的に議論しました。3日間同じメンバーで討議を重ねることで徐々に打ち解け、遠慮のない意見交換ができる雰囲気が生まれました。他施設での治療方針や各病院の実情についても率直に共有され、自施設では気づかなかった視点を数多く学ぶことができました。議論は初診時の単純X線写真1枚から始まりますが、その1枚を前に10人以上の整形外科医が真剣に、楽しみながら意見を交わす時間は非常に印象的でした。1枚のレントゲン写真で盛り上がることができるのは、整形外科ならではの魅力ではないでしょうか。画像から病態を読み取り、最適な治療戦略を組み立てていく過程そのものが、整形外科医としての面白さであり、醍醐味であると実感しました。

 1日目夜には懇親会も開催されました。100名近くの参加者がいる中、当初は知り合いも少なく不安もありましたが、同じ長崎県内で勤務されている整形外科の2人の先生と新たに知り合うことができ、また学会やオンライン研修会などで講演される先生方と直接お話しする貴重な機会もありました。専攻医としては著名な先生方と直接お話しできたことは大きな刺激となりました。海外からFacultyとして来日されていたMulyana先生、Thong先生とも善家先生を介して懇親会中にお話しする機会がありました。なお、自分の英語力に自信はありませんが、御二人の先生の講義はAIによる同時通訳が活用されており理解の助けになりました。

 3日間文字通り骨折治療漬けという状態で、日常診療以上に骨折について向き合う時間を過ごしました。本コースで骨折治療に対する理解を改めて整理し、今後はより一層自信をもって治療に臨めるのではないかと感じています。今後は後輩の先生の手術に助手として入ることも機会も増えてくる立場でもあるため、今回学んだ内容を活かして、指導にも還元していきたいと考えています。

 最後になりましたが、Chairperson 産業医科大学の善家先生をはじめ、AO TraumaのFacultyおよびTable instructorの先生方、九大救命外傷チームの尊敬するリーダーであり、今回はFacultyとしてご指導いただいた九州大学病院の籾井先生、そして数日間の不在にも関わらず快く東京に送り出してくださった佐世保共済病院整形外科の皆様に、心より感謝申し上げます。