AO Trauma Course—Basic Principles of Fracture Management for ORP 参加者レポート 横浜市, 2024/08/24~08/26 比嘉 雪乃 様 (旭ろうさい病院)
私は愛知県尾張旭市にある旭ろうさい病院で手術室看護師として勤務しています。整形外科病棟を3年間経験し、その後手術室に異動し今年3年目です。主に外傷や人工関節(膝・股)の手術を行っています。AO Trauma Courseに参加したきっかけは、整形外科の勉強をするにあたり、自身では深く学ぶことが難しいと感じたためです。骨折の病態、手術手技や器械準備などの勉強は、参考書や資料などを使っても表面的な知識しか得ることができませんでした。そのため学会に参加することで学びを深め、学んだことを実践に活かせるようにしていきたい、学んだことを他スタッフにも共有し、より良い手術看護が手術室全体で行えるようになりたいと思い参加しました。
1日目は昼に集合し、最初は講義からでした。骨折についての病態整理から始まり、骨折に対しての固定法と骨癒合の関係について学びました。仮骨を伴う骨癒合と伴わない骨癒合では術後の経過が変わってきます。仮骨を伴う固定法は相対的安定性といい、骨片間に骨癒合の障害とならない多少の動きがある固定方法で、仮骨を伴わない絶対的安定性は、骨片間に動きがない固定方法です。骨折治癒はただ骨を固定すればいいわけではなく、骨折の状態をアセスメントした上で、その患者にとっての最善な固定方法を選択していることが理解できました。また、インプラント抜去の講義では抜去困難時の対応方法や注意点などを学びました。私自身、インプラント抜去をする際に破損・折損した場面に遭遇したことがほとんどなく、摘出用ボルトなどの器械を使用してもなかなか使い方を覚えられませんでした。ですが、講義で学んだ後にSkills Labで実際に模擬骨を使って体験することで、イメージをしながら覚えることができたので非常にわかりやすかったです。他にも、ドリリング時の熱発生について学んだ際には、Kワイヤーとドリルの時ではKワイヤーの方が熱が上昇していたことにとても驚きました。そのため、生食をかけて少しでも発生した熱を冷ますことで軟部組織の損傷を軽減することの大切さを改めて理解できました。
2日目は、Small group discussionがありました。12人ずつのグループに分かれて、手術室における安全管理について意見交換をしました。初対面の方たちと話すのはとても緊張しましたが、じっくり術中の安全管理について考えることができ、他の病院で取り組んでいることも知ることができました。そのあとのPractical exerciseでは、スクリューやプレートを用いて模擬骨に内固定を行いました。整復鉗子で模擬骨を仮止めするのは、思っていたよりも難しかったです。スクリューやプレートも位置によってはうまく骨折部位を固定することができなくなってしまうため、整復鉗子の正しい選択も大切だと感じました。
3日目は、創外固定法についての講義を聞き、そのあとにPractical exerciseを行いました。自施設では、創外固定法を行うときもありますが多くはないため、私にとっては原理や手技を学ぶことができ、とても嬉しかったです。実際に模擬骨に対して創外固定を行った時は、なかなかバーとフレームを組むのが困難でした。より強固な固定にするにはどうしたらいいのかをペアの人と話し合ったり、近くにいるインストラクターの先生方に教えてもらったりしながら行うことができたので、より理解が深まりました。バーとフレームは1人で組み立てるのが難しかったため、最低でも医師2人は必要ですが、人手が足りてない時などは看護師が介助できるように理解しておくとスムーズに行えるため、手術器械の手順や仕組みの勉強の重要性を理解しました。
3日間を通して感じたことは、一つ一つのカリキュラムがとても丁寧で細かく説明を聞く事が出来るので、とても有意義な時間を過ごすことができたということです。今後は学んだことをしっかりと振り返り、身につけ、さらなるレベルアップに繋げていきたいと思います。そして他の手術室スタッフへ、自身が学んだことを伝達していきたいと思います。また、自施設でも症例を用いたgroup discussionを実施して、手術室スタッフ全員で、より良い手術看護を行えるようにしていきたいと思います。
最後になりますが、AO trauma courseにおいて、講師や運営スタッフの皆様に充実した3日間を過ごさせていただき、深く感謝いたします。ありがとうございました。