AO Trauma Course – Basic Principles of Fracture Management for ORP 横浜, 2022/08/27-08/29 酒井 こころ 看護師 (岐阜大学医学部附属病院 手術部)

私は岐阜県岐阜市にある岐阜大学医学部附属病院で手術室看護師をしています。看護師経験、手術室経験がともに6年目になる今年、念願のAOコースに参加することができ、とても充実した3日間を過ごすことができました。

私は、新人だった頃に初めて担当した寛骨臼骨折手術で、高次救命治療センター外傷整形外科医たちが施していた手術手技と、彼らの師弟関係に感銘を受けたことがきっかけで骨折手術に興味を持ち始めました。それから5年間、手術につくたびに医師に質問したり、AO ORP Starterに参加したりしながら地道に勉強を続け、現在は高次救命治療センター担当としてスタッフの教育とスムーズな手術運営に力を注いでいます。2021年の整形外傷手術件数(一時的創外固定や洗浄・デブリードマン手術を含む)は215件です。スタッフは日々、すべての診療科の手術を担当しているため私自身も骨折手術を担当できる機会は年間を通して決して多くありません。そのため知識と技術の向上や手術準備の統一化、そしてスタッフの教育は常に課題となっていました。当コースのインストラクターを務めていた当院の医師から初めてコースの概要を聞いた時は「朝から晩まで大好きな骨折について学べるなんて、何て素晴らしい環境なんだろう」と感動し、参加条件を満たしたら必ず参加して、得た知識を今の仕事に活かしたいと考えていました。

ORP 講義風景

コース内容について振り返りながらご紹介します。初日はお昼に集合しました。開会の挨拶でChairpersonである花林先生の「3日間骨折にどっぷり浸かっていただきます」という言葉を聞いた時は、ワクワクで胸がいっぱいになったのを覚えています。事前に配られた資料を元に事前学習をしてきたため、怒涛の講義になんとか遅れずついていくことができました。また膨大な講義内容についていけるか不安でしたが、すべて基礎から習得できる内容で非常にわかりやすかったので安心しました。初日だけでも約4時間講義があり情報量が多いものでしたが、Audience Response Systemと呼ばれる参加者の意見をリアルタイムに集計するライブツールなどを用いて理解度を確認してもらえるため、その場で考え、知識を自分のものにして帰ることができるようになっていたのが良かったです。今まで少し自信のなかった直接的骨癒合と間接的骨癒合の違いや絶対的安定性と相対的安定性の違いについても、コース中に何度も演習問題を解いたのですっかり自信がつきました。講義などで抱いた疑問はその場で質問することができ、紙に書いて提出することもできます。誰にとっても質問がしやすい環境が整えられていました。

夕方のSkills labは楽しみにしていたプログラムのひとつでした。専用の機械を用いてドリリング時に発生する熱を測定するコーナーでは、ドリルよりもキルシュナーワイヤーの方が摩擦係数が高いため、先端の温度が高温になることに最も驚きました。他には自施設では所有していない整復器械の体験や抜釘困難時の対応を知ることができ、自施設で毎年行っている勉強会でも経験することができないような貴重な学びを得ることができました。

活気あふれるSmall group discussion

2日目と3日目は主に講義、Small group discussion、Practical exerciseの順に進んでいきます。手術室経験を重ねると手術手技ばかりにフォーカスしがちになりますが、Small group discussionで改めて手術室での安全管理・感染管理について考え直すことができました。各グループで活発な意見交換が行われ、自施設での手術看護しか知らない私にとって、他施設での感染管理方法、意識下で患者がもっと安楽に手術を受けられる方法や、同じ体位固定具がなくても代用できる物品などについて他施設の様々な試みを聞くことができたことはとても貴重な機会でした。

Practical exerciseでは予め決められたペアで実習を行います。同規模の病院で働いていて同じような悩みや喜びを抱いている方とペアになり、ポジショニングスクリューとラグスクリューテクニックを共に一から学び直しました。他にはプレート固定、創外固定、髄内釘を実践し、上手に固定するためにペアで協力しながら慎重に骨折を整復したり、ピンやスクリューの刺入点について話し合ったりしながら進めました。出来上がった固定はインストラクターから改善点をフィードバックしてもらえるだけでなく、近隣のペアたちと見せ合って、お互いの反省点や上手くいったところを共有してグループ全体の学びにできたのが良かったと思います。

全体を通して感じたことは、3日間のプログラムに沿って一生懸命取り組んでいくと、骨の構造・スクリュー・プレートの基礎の講義から創外固定・髄内釘の実践まで習得できるので、気が付いたら整形外傷手術に関する知識が確実なものになるということです。参加する前と後では全くの別人になったような感覚でした。

このコースの最大の魅力は、情熱的な医師との出会いだけでなく、日本全国で研鑽を積む同志たちと出会えることです。年齢やバックグラウンドは異なっても、より良い手術を医師とともに作り上げようと日々奮闘しているのはみんな同じで、話してみるとその気概が伝わってきました。そのような志高い仲間たちと語り合うことでお互いの施設の取り組みを参考にし、普段の仕事の悩みや喜びを共有しあうことができました。そして今後も施設間で情報交換し、お互い高めあおうねと励まし合い、人脈を広げることができたことが嬉しかったです。

コロナ禍で困難な社会情勢の中、万全な体制で開催を決行し、貴重な学びの機会を与えてくださった講師と運営スタッフすべての皆様に深く感謝申しあげます。この経験を自部署に持ち帰って日々の手術運営に活かしながら、骨折手術のプロフェッショナルとしてさらに成長していきたいと思います。