Cedars-Sinai Medical Center, USA., 2024/09/16 ~10/25 西野 雄一朗 先生 (長崎大学病院外傷センター)
Cedars-Sinai Medical Centerの研修を終えて
2024年9月16日〜10月25日までの6週間、アメリカのロサンゼルスにあるCedars-Sinai Medical Centerで、AO trauma fellowshipとして研修させていただいたのでご報告いたします。
私が研修先を決めるにあたり、家族と一緒に行きたいと考えておりました。そのため英語圏内での病院であること、そして誰も研修したことのない病院に行ってみたいと感じ、アメリカの病院を探しました。Cedars-Sinai Medical Centerはロサンゼルスにある5つのLevel I Trauma Centerの1つであり、立地も良いため、Cedars-Sinai Medical Centerに研修先を決めました。
fellowship開始1ヶ月前くらいから病院とメールをやり取りすることが多くなり、渡航前に必要な書類を提出するのに結構な時間を要しました。また、そのやり取りの中で、fellowship開始3日目に1時間の症例発表をしてほしいと言われたため、その日のうちに準備を開始しました。外傷センターの先生方の前での発表を想定しておりましたが、実際には講堂で、整形外科の他の班の先生や他科の先生が多数来られるような勉強会の場であり、英語で1時間のプレゼンテーションを大人数の前で行うのは非常に緊張しました。とても大変でしたが、その後プレゼンテーションよかったよと言っていただいたり、私の顔を覚えてくださっていた先生も多かったりと、当時は大変でしたが後にとても役に立ちました。
Cedars-Sinai Medical Centerはロサンゼルスのビバリーヒルズにあり、ロサンゼルス国際空港からも近く、アクセスはとても良いです。物価はとても高く、1年間フェローで滞在している先生は月5000ドルくらいで一軒家を借りていると言われていました。日本ではあまり考えられない値段でびっくりしました。
1日の流れは、朝6時30分から毎日カンファレンスがあり、前日の夜間の急患に関する情報を皆で共有し、手術のタイミングを決定するというものです。そして毎週火曜日6時から8時に1週間分の手術の確認を行うという感じでした。この時のカンファレンスでは、Attending DoctorとFellowship Doctorが活発に意見を交わしていました。夜間の急患はホームレスが運ばれてくることも多く、他のどの病院も受け入れができないからよく搬送されているとのことでした。
Attending Doctorが5名、Fellowship Doctorが1名、Resident Doctorが5名(整形外科全体では約25名いて、外傷を回っているのが5名)おり、それぞれが交代で手術を行うという感じです。すべてのAttending Doctorが骨盤骨折も含めあらゆる外傷に対応していましたので、どの曜日でも満遍なく手術をしている印象でした。
外傷の手術室は2-3室あり、Attending Doctor2名が1-2室を使って効率よく手術を行います。症例は下肢外傷が多く、毎日脛骨骨幹部骨折の患者が来る週もあれば、関節内の粉砕骨折の患者も多く来ていました。2部屋で同時に脛骨近位端骨折の手術が行われているときもあり、交互の部屋を行ったり来たりして2人のAttending Doctorにポイントを聞くことができました。
手術を見学する日もあれば、外来を見学する日もありました。外来では、Attending Doctorとより密接に話すため、すごく英語の勉強になりました。以前の手術中の画像を見て手術の方法を聞いて、今この時期だからこうしているみたいな会話を毎回しました。術後の経過も実際に見ることができたのは本当によかったと思います。また空いた時間では、日常生活について話したり、お勧めの観光スポットやレストランなどを教えていただきました。
ロサンゼルスはとても気候が良く、雨が降った日は6週間のうち1日だけでした。後はほとんど快晴でとても過ごしやすかったです。また、fellowshipの時期がちょうどドジャースがナショナルリーグ優勝、ポストシーズン出場した時期で、家族でドジャースタジアムに行くことができ、ものすごく良い経験をすることができました。
その他にも、ハリウッドサインやユニバーサルスタジオハリウッド、ディズニーランドパーク、ビバリーヒルズなど観光名所が沢山あります。家族で行った場所では、ハリウッドマウンテンから見たロサンゼルスの景色は忘れられない思い出になりました。
最後になりますが、このような貴重な体験をさせていただきました長崎大学外傷センター長の田口憲士先生、長崎医療センターの宮本俊之先生、AO Trauma Japanの皆様、また6週間以上の長期不在を認めてくださった長崎大学整形外科の尾﨑誠教授には深く感謝申し上げます。