Ulm University Hospital, Germany, 2025/09/08〜10/17 朝永 育 先生 (長崎大学病院 外傷センター)

(Ulm University Hospital)

2025年9月8日から10月17日までの6週間、ドイツのUlm University HospitalでAO Trauma Fellowshipとして研修いたしました。手洗いをして手術に参加できるドイツを希望し、その中でも外傷と手外科の症例が多い施設を希望したところ、AOのご配慮によりUlm University Hospitalの「外傷・手・形成再建外科センター」にマッチングいただけました。

研修は、毎朝7時10分から外傷のカンファレンスに参加し、その後は手術室で月・水・金は手外科、火・木は外傷という日程で過ごしました。朝カンファレンスはすべてドイツ語で、リアルタイム翻訳を使用しながら参加しました。手術はエキスパートの先生方が執刀されているため手技に無駄がなく非常にスピーディである点が印象的でした。麻酔導入も別室で行い入れ替えもスムーズなため、外傷は1日あたり1室3〜5件を3室並行で、手外科は1室7〜8件が行われているにもかかわらず、朝8時から始まり午後3時半頃までに終了しました。そこから夜間シフトへ完全に交代するなど、勤務体制の明確さには驚かされました。

(外傷センターのGebhard教授との写真)

外傷センターは固定型Cアーム常設のハイブリッド手術室が1室と3D対応モバイルCアームも1台あり、術中3D撮影とナビゲーションが標準化されていました。中でも関節内骨折に対して整復位やスクリュー挿入位置を術中3DCTで確認できることは非常に有用だと感じました。私自身は上肢の骨折に興味があり、研修3週目に長崎大学外傷センターで自分が執刀した症例を発表する機会をいただきました。それをきっかけに上肢の手術の助手に入ることや、術中に意見を求められる機会が増えたことは嬉しい経験でした。

手外科では、Ulm University HospitalがAO Trauma Handのトレーニングコース開催施設である強みもあり、手指骨折を中心に幅広い手術を経験することができました。適切なアプローチ選択のうえで骨折型に応じた必要十分な固定強度を確保するということを、症例を通じて体系的に学ぶことができました。

(手外科で多くのご指導をいただいたBauknecht先生との写真)

生活面ではドイツの勤務形態に準じて家族時間を多く確保できたことも良い経験でした。週末はUlmの先生方おすすめの街まで列車で行き、ドイツの文化にも触れられました。滞在がミュンヘンのオクトーバーフェスト期間と重なり、外傷センターのGebhard教授に招いていただき本場を体験できたのも最高の思い出です。

最後になりましたが、このような貴重な体験の機会を与えてくださったAO Traumaの皆様、ならびに6週間の長期滞在を快く認めてくださった長崎大学の皆様に心より感謝申し上げます。