Universitätsklinikum Freiburg, Germany, 2025/8/18〜9/26 濱口 隼人 先生 (済生会新潟県央基幹病院 外傷再建外科)
このたび私はAO Trauma Fellowshipにて、2025年8月18日から9月26日までの約6週間、ドイツ南西部に位置するUniversitätsklinikum Freiburg(フライブルク大学病院)において臨床研修の機会をいただきましたので、ご報告いたします。

フライブルク大学病院は、ドイツ南西部における高度医療の中核を担う500年以上の歴史を有する大学病院であり、フランスおよびスイス国境にも近い地理的特性から、国際色豊かな医療・研究環境を有しています。外傷診療においては、周辺病院と連携した外傷ネットワークの中心的役割を担うLevel 1 Trauma Centerとして、重症外傷や高リスク症例を含む幅広い患者を24時間体制で受け入れています。
私が留学した当時、フライブルク大学整形外科・外傷外科は外傷部門を含め44名の医師が所属しており、さらに約10名程度の学生が数週間単位でローテーションしている、非常に規模の大きな医局でした。手術はおおむね5列体制で各列3例程度行われており、夕方以降は夜間専門の医師に引き継がれます。夜間帯であっても、ドクターヘリなどで救急搬送された患者に対して、大腿骨近位部骨折手術を含む骨折治療が適宜行われ、翌朝のカンファレンスで全症例が詳細に共有・検討されていました。この24時間体制の外傷診療システムは、日本の多くの施設とは大きく異なり、非常に印象的でした。

研修期間中は、外傷グループチーフであるDr. Wagnerのもとで主に外傷手術に参加し、四肢長管骨骨折から骨盤・寛骨臼周囲骨折、サルベージ手術症例まで、非常に幅広い症例を経験することができました。また、外傷のみならず、肩関節外科、足の外科、股関節・膝関節鏡手術など、日本での通常診療ではなかなか学ぶことのできない分野にも触れることができた点は、大変貴重な経験となりました。
特に印象に残ったのは、Dr. Wagnerによる肘関節鏡を併用したORIFです。外傷専門医でありながら関節鏡手技を柔軟に取り入れることで、より低侵襲かつ理にかなった治療が可能となることを学びました。
また、肩関節外科の世界的権威であるDr. Jaegerの手術に参加し、deltoid–pectoral approachにおいて三角筋の血流を最大限に温存する展開手技を直接学ぶことができました。この経験は非常に大きく、帰国後は私自身も同様の展開を日本で実践しています。

さらに、足の外科認定医として、Prof. SchmalによるLapidus法(tension side plantar plating)や、Dr. KuhleによるMICAを用いた外反母趾手術、重症pilon骨折、Lisfranc関節脱臼骨折に対する手術にも参加し、外傷と足の外科が高度に融合した診療を学ぶことができました。
特に印象深かったのは、私と同世代で外傷チームの中核を担うDr. Erdleとの交流です。寛骨臼骨折手術において、日本で私が習得していた前方AIP approachの知識と技術を共有したところ、翌日から他の重症外傷手術への継続的な参加を求められ、最終日にも重症下肢開放骨折症例に対して19時過ぎまで共に尽力しました。互いに意見を交わしながら治療戦略を構築した時間は、本研修の中でも特に忘れがたい経験です。

手術以外の時間は、同僚たちと行動を共にし、彼らの勤勉さやチームワーク、そして患者中心の姿勢から多くの刺激を受けました。私の拙い英語や初歩的なドイツ語であっても、決して軽んじることなく真摯に耳を傾けてくださり、「伝えたい気持ち」の大切さを改めて実感しました。フライブルク大学の医師たちは、技術的な卓越性のみならず、人としての懐の深さを兼ね備えており、その姿勢は今後の医師人生において大きな指針となりました。
最後に、本留学の機会を与えてくださったAO Trauma Japanの皆様、渡航前より多大な助言をくださった福山市民病院の近藤洵也先生、ならびにフライブルク留学の先輩としてご支援くださった四国こどもとおとなの医療センターの佐々貴啓先生に、心より深く感謝申し上げます。
また、現地滞在中も常に温かい励ましと多くの愛情あふれるメッセージをお寄せくださった、Dr. Jaeger先生のご親友でもある川崎医科大学 野田知之教授にも、謹んで御礼申し上げます。
さらに、本Fellowshipへの参加を快く認め、送り出してくださった当院チームの皆様に、心より感謝申し上げます。


本研修で得た知見と経験を日本に持ち帰り、AO Traumaの理念に基づいた合理的かつ患者中心の外傷治療を、今後の臨床および教育の場において実践していきたいと考えています。また、今後多くの先生方がこのFellowshipを通じて世界を体験されることを心より願っております。

