Sunnybrook Health Sciences Centre, Toronto, Canada, 2023/3/6-4/14 宋 永同 先生 (京都大学医学部附属病院)

この報告書は私がカナダのSunnybrook病院で行った整形外科骨盤骨折に関する6週間のAO Trauma fellowship研修内容とカナダ医療システムの特徴についてまとめたものです。カナダは高度な医療設備と包括的な医療制度を持つ国であり、そのようなシステムの一部をAO foundationの配慮を通じて学ぶ機会を得ました。

カナダの医療システムとSunnybrook病院の紹介:
カナダは包括的な公的医療制度を持つ国であり、国民は健康保険によって基本的な医療費用がカバーされます。さらに高度な医療技術を持つ病院も多く、治療に対するhigh qualityと効率的な医療アクセスの両方を追求するメリットが多いシステムです。その上、英語を使うことによる様々な国際的な医療専門家との交流が活発で、多様な背景を持つ医療関係者、特にfellowたちと協力する機会がありました。

Sunnybrook病院の整形外科パートはトロント大学整形外科グループに属するカナダの一流医療機関であり、整形外科部門はその中でも特に優れた専門性を持っています。Sunnybrook病院には、complex trauma caseを治療するカナダ最大のレベル1外傷センターがあります。毎年1700人以上の「コード外傷」患者がトロント市内で治療を受けており、毎年1300件以上の救急整形外科手術事例を行っています。20人以上のトロント大学整形外科レジデントがSunnybrook病院で教育を受けており、また似たような数字だけ整形外科フェローが勤務する、カナダで最大の臨床フェローシッププログラムの一つです。特に高エネルギー外傷や交通事故によって生じる骨盤骨折のような複雑なケースについては、カナダ全土を通じてヘリで移送され治療するほど特化した病院なので、普段は珍しいケースも経験できました。

研修内容と成果:
研修期間中、骨盤骨折診断法、分類、治療法に対する理解を深めました。専門医の指導の下、画像診断技術と手術技術を向上させることができました。また、臨床事例研究に参加することで、実際の臨床状況に対する最新のアプローチに触れることができました。 今回のホスト役としてご尽力いただきましたDavid Stephen先生が興味のある分野として、外傷性筋骨格系負傷、特に骨盤外傷と足、及び足関節外傷です。彼は経験豊富な外傷の専門家として、手術前に常にチームメンバーと考えを共有し、議論する開かれた心の外科医でした。特に印象的だったのは手術場のホワイトボードに絵を描きながら専任医、手術看護師などに情熱的に説明していた姿でした。

ただし、カナダでのAO Trauma fellowshipは医療法上手術ができないため、見学にとどまるしかないことをあらかじめ念頭に置いていなかったことを後悔したこともあります。骨盤骨折の特性上、手術フィールドに入らないと肉眼で見にくい場合が多く、C-armを通じてのみ手術の内容を推測するしかなく、手術が終わって質問することで確認するしかありませんでした。しかし、むしろ普段持っていない手術の細部について思索の時間が長くなって、理解できない部分に対する進歩があった経験は楽しい思い出です。

課題と成長:
研修を通じて得た知識と技術は私の成長に大きく寄与しました。特に、複雑な骨盤骨折事例へのさまざまなアプローチを改善する必要があることに気づきました。さらに、異なる文化背景を持つ患者とのコミュニケーションや医療スタッフとの討論などについて、より開かれた姿勢を持つようになりました。

最後にこのような機会をくださったAO Trauma Japan、そして京都大学松田教授に深く感謝します。