AO Trauma Master Course – Shoulder & Elbow with Anatomical Specimens 参加者レポート 名古屋, 2024/11/6-8 佐藤 俊介 先生 (福島県立医科大学 医学部 整形外科学講座/外傷再建学講座)
2024年11月6日から8日に名古屋で開催されました、AO Trauma Master Course – Shoulder & Elbow with Anatomical Specimensに参加させていただきましたのでご報告申し上げます。この会では、Chairpersonである松村福広先生を中心に、国内外の著名なFacultyの先生から、上肢外傷における基本から応用・最新知見を座学と解剖実習で学ぶことができる、大変有意義な時間を過ごすことができました。
1日目は肩周囲、鎖骨、上腕骨骨幹部について、2日目は肘周囲、前腕ついて講義をしていただき、それぞれの分野のgroup discussionを行いました。講義では、各分野の基本的な知識の整理から、文献やfacultyの先生の経験などを踏まえた貴重な講義をいただきました。その中でも海外facultyの先生の講義では、その国の情勢や医療事情により使用機材に制限がある中での美しい手術の症例を拝見でき、大変感銘を受けました。Group discussionでは、英語が少し(ではなくものすごく)苦手な自分ですが、優しい国内facultyの先生が要所要所で通訳をしてくださるおかげで、尻込みせず海外facultyの先生とも意見交換することができましたし、各症例に対するいろいろな先生の考え方や、エキスパートの経験や意見を聞くこともできて大変勉強になりました。
3日目は、名古屋市立大学でご献体を使用させていただいて解剖実習を行いました。名古屋市立大学解剖学講座の植木孝俊先生にご挨拶をいただきから、改めて気を引き締めて実習をスタートしました。仰臥位から、最初は肩関節周囲の解剖ですが、肩鎖靭帯がいかに肩鎖関節の安定性に重要か再認識できました。Theerachai Apivatthakakul先生からは、普段あまり使用したことがない上腕骨骨幹部骨折へのanterior, anterolateral MIPO approachにおける橈骨神経の剥離展開のエッセンスを確認できましたし、Delto-pectoral approachでは上腕骨頭を栄養する回旋動脈の走行や、普段はなかなか目視できない腋窩神経の走行を確認することができました。肘周囲では、Gregory Della Rocca先生のKocher/Kaplan approachからのPINの確認、金谷文則先生のMuscle-splitting approach、Reto Babst先生のMedial approachと、肘外傷好きの自分としては美しい展開の数々に圧倒されっぱなしでした。腹臥位になり、肘後方アプローチでは、Ying-Chao Chou先生にThe triceps-reflecting anconeus pedicle approachを実践していただき、講義でも教わりましたが肘筋の重要性を再認識いたしました。最後に、こちらも経験が浅い肩甲骨への後方アプローチもKnack & Pitfallsを再確認することができ、本当にあっという間に駆け抜けた1日でした。
この3日間、充実感に浸りっぱなしであり、本当に満足感と同等の知識と技術を学ぶことができました(円高の影響を受けた受講料でしたが、全く気にならないです!)。また、一緒に参加できた先生方も、整形外傷に熱い同士でしたので、より刺激的な時間を共有できたことは幸せでした。
この経験をしっかり身につけ、日常診療に活かせるよう努力を継続しようと思いました。
最後に、ご指導いただきましたfacultyの先生方や、サポートに尽力してくださったAOスタッフの皆様、実習に快く参加させてくださった同僚の先生方に深く御礼を申し上げます。