AO Trauma Course – Fragility Fractures and Orthogeriatrics Fukuoka, 2016/3/13-14 西原 寛玄先生 (加古川医療センター)

2016年3月13日〜14日にエルガーラホール福岡で開催された、 AO Trauma Course-Fragility Fractures and Orthogeriatricsに参加したので報告します。 Specialty CourseについてはLower ExtremityやKnee Octeotomyに参加したことがありますが、fragility fractureについては、骨粗鬆症の薬物治療を独学で学んで、骨折治療 との関連は経験に頼っているのが実際であり、系統的に学びたく参加させて頂きました。講師はChairperson澤口先生をはじめinternational faculty, local faculty, guest facultyの先生が総勢13名いらっしゃいましたが、他のcourseと違い、老年内科や麻酔科、精神科の先生もおられ、多岐にわたっていました。参加者はSpecialty Courseなので30代以上の方がほとんどでしたが、骨折分野の高名な先生もおられました。

1日目午前はlectureから始まり、概要と周術期管理に関してでした。高齢者の場合、骨の脆弱性などの手術治療の困難性、既往疾患、精神状態、栄養状態など様々な要素を考慮すべきであること、術前計画の講義では、抗凝固剤や麻酔方法や疼痛コントロール、合併症管理がありましたが、せん妄の予防や治療も項目に入っていました。高齢者への治療の特色を感じました。International facultyのGoscha先生は「せん妄を予防する手立てはなく、早急な治療開始と除痛が必要」と述べておられましたが、実際には十分に対応ができていないと思いながら、聴講しました。

また、大腿骨近位部骨折は近年早期手術の有用性が指摘されており、以前よりは待機日数短縮していますが、澤口先生の富山市民病院の医療スタッフ連携よる取り組みを聴き、自分のところでも取り入れたいと思いました。その後、上下肢の部位別骨折に関してのセッションに移りましたが、Principle,Advanced Courseと違うのは、まずグループに分かれて症例毎にcase discussionを行い、検討を重ねたうえでlectureを聴くという形式でした。症例は高齢者で多い上腕骨近位端骨折、上腕骨遠位端骨折、大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折、骨盤骨折、人工関節周囲骨折がpick upされ、討論時間は最低60分以上ありました。私自身も実際に高齢者のlow energyによる骨盤骨折を診察することが増えてきており、特に寛骨臼骨折への対応に苦慮したことがあったのですが、侵襲が大きいですが早期離床目的にTHAを行うことも選択肢であると勉強させて頂きました。

次に印象的だったのは上腕骨遠位端骨折に対して上手く内固定を施行しても、高齢者は上肢を使用してベッドサイド移動するため、それによる再骨折の症例がありました。AO法の考えに沿うと絶対的安定性を考慮して治療すべきと思いますが、高齢者の脆弱な骨には相対的安定性を獲得する固定も考慮すべきとのアドバイスは納得いたしました。私のグループでも積極的な討論が出来ていたと思いますが、別のグループでも活発な発言がされていました。またAO Courseでは学術的研鑽だけではなく、全国の先生と親睦を図れるのが素晴らしいです。休憩時間や懇親会では各県の外傷治療の現状や研究内容、更には診療報酬への対応など文献収集では得られないことを知ることが出来ました。二日間で結構な情報量があるcourseなので心身的にしんどいのが正直な気持ちですが、日常診療に役立つことばかりを得られました。これからのスキルアップに活用させて頂き、今後もこのようなcourseには参加していきたいと思いました。