AO Trauma Course—Basic Principles of Fracture Management for ORP 参加者レポート 宇都宮, 安田 みと (聖隷横浜病院 看護師)
私は聖隷横浜病院の手術室に勤務し、手術室看護師として日々さまざまな診療科の手術に携わっています。聖隷横浜病院は横浜市保土ケ谷区にある367床の病院で、地域の急性期医療を担っています。手術室では整形外科をはじめ、外科、呼吸器外科、脳神経外科、耳鼻科、泌尿器科などの予定手術や緊急手術に対応しています。整形外科では人工関節手術や脊椎手術、骨折手術などを行っており、年間約500件の外傷手術に携わっています。
私自身、これまで整形外科手術に関わる中で、手順を覚え、スムーズに器械出しを行うことを意識してきました。しかし、骨折手術では術式や使用する器械が多く、手術中の状況に応じた対応が求められるため、苦手意識を感じることもありました。また、部屋の準備についても、マニュアルに沿って必要な物品を準備することが中心となっており、「なぜこの器械が必要なのか」「この患者さんには何を準備しておく必要があるのか」といった根拠まで考えられていないこともありました。
そのような中で今回、AO Trauma Courseを受講する機会をいただきました。骨折治療について基礎から学び直し、これまで何となく理解していた手術や器械について、根拠を持って理解したいと思い、受講しました。

1日目は、骨折の病態や分類、骨折治療の原則、固定方法と骨癒合の関係などについて学びました。これまで手術前後のレントゲンを見る機会はありましたが、骨折の経過や固定方法によって骨癒合の進み方が異なることなど、改めて学ぶことが多くありました。また、AO分類についても、ただ分類を覚えるのではなく、実際の骨折をイメージしながら考えることで、より理解しやすくなりました。
インプラントや手術器械についても、普段の手術で使用しているスクリューやプレートなどが、どのような原理で骨を固定しているのかを学ぶことができました。これまでは「この術式ではこの器械を使う」というように、手術の流れに沿って器械を覚えている部分が多くありました。しかし、それぞれの器械が使用される目的や固定の原理を知ることで、器械の一つひとつに意味があることを改めて実感しました。
放射線に関する講義では、手術中に使用する透視装置の仕組みや、被ばくを低減するための考え方について学びました。手術室ではCアームを使用する機会が多くありますが、これまでは「放射線を使用するため防護が必要」という認識が中心でした。今回、放射線がどのように発生し、どのような点に注意して使用する必要があるのかを学んだことで、患者だけでなく医療者の安全を守るために、看護師としてできることを改めて考えることができました。
今回のコースでは、講義だけでなく実技演習があり、実際の手術で行われている手技を自分自身で体験することができました。普段は器械出しとして、医師が行う操作を見ながら介助していますが、実際に自分で器械を操作してみることで、操作の難しさや、術者がどのようなことを考えながら手技を行っているのかを、これまでとは違った視点から考えることができました。

実際に自分でやってみることで、「この場面ではこの器械が必要になる」「この操作をするためには、次に何を準備しておく必要がある」といったことを、より具体的に考えられるようになりました。知識として聞くだけではなく、自分自身で体験することで、器械や手技に対する理解がより深まったと感じています。この実習は、今後器械出しを行う上でも、とても貴重な経験となりました。
また、グループでのディスカッションでは、さまざまな施設から参加された方々と意見を交換することができました。同じ手術室看護師でも、施設によって手術への関わり方や準備方法などに違いがあり、自分にとって当たり前だと思っていたことを別の視点から考えるきっかけになりました。自分では思いつかなかった意見を聞くことで、新しい視点を得ることができ、他者の考えを聞きながら自分の考えを深めていくことの大切さも学びました。
外回り看護について学べたことも、今回のコースで印象に残ったことの一つです。術前計画や患者さんの状態をもとに、手術前にどのような準備ができるのか、手術中にどのようなことが起こる可能性があるのかを考え、グループで話し合いました。
これまで外回りとして準備を行う際には、必要な物品を揃えることに意識が向きがちでした。しかし、患者さんの状態や手術内容を事前に把握し、「この患者さんだからこそ必要な準備は何か」「手術が始まる前にできることは何か」と考えることで、手術が始まってから対応するのではなく、先を予測して準備することが重要なのだと学びました。

3日間を通して、今回特に強く感じたのは、「手順を覚えること」と「自分で考えて行動すること」は違うということです。これまでは、マニュアルがあることで安心して業務を行うことができていました。しかし、今回のコースでは、知識や技術を教えていただくだけではなく、「なぜそうするのか」「そのためには何が必要なのか」と考えるための方法を学ぶことができました。
マニュアルに沿って準備することも大切ですが、その患者さんの状態や手術の内容によって必要なことを自分で考えられるようになることで、より安全で質の高い手術看護につながるのだと感じました。今回学んだことは、骨折手術に限らず、これからさまざまな手術に関わっていく上でも活かせるものだと思います。
そして、今回の受講を通して、整形外科手術に対する自分の気持ちにも変化がありました。これまでは、骨折手術に対して「覚えることが多く難しい」という苦手意識がありました。しかし、骨折の治療や器械の原理を理解し、実際に手技を体験することで、今まで何となく見ていたものが少しずつつながっていく感覚がありました。知識が増えたことで、整形外科手術を以前とは違った視点から見ることができるようになり、「もう一度、整形外科の器械出しをやってみたい」と思えるようになったことは、自分にとって大きな変化でした。
今回のAO Trauma Courseへの参加は、骨折治療に関する知識や技術を学ぶだけでなく、これまでの自分の看護を振り返り、手術室看護師としてどのように成長していきたいかを考える貴重な機会となりました。今後は、術式や器械をただ覚えるのではなく、その背景にある治療の目的や原理を理解し、器械出しでは手術の進行を予測し、外回りでは患者さんの状態から必要な準備を考えられるようになりたいです。
今回学んだ「自分で考える」という姿勢を日々の臨床の中でも大切にし、患者さんにとってより安全で安心できる手術を支えられる手術室看護師を目指していきたいと思います。
