The Berufsgenossenschaftliche Unfallklinik and University Hospital Tübingen, Germany, 2024/4/15 - 6/21 光澤 定己 先生 (神戸市立医療センター中央市民病院)
2024年4月15日から6月21日までAO Trauma Fellowshipとして、ドイツのTübingenにあるBerufsgenossenschaftlichen Unfall Klinik Tübingen(BG Trauma Hospital、BG klinik)のHPRV(形成外科、手外科部門)で6週間、UWCH(整形外傷部門)で4週間、研修させていただきましたのでご報告いたします。
AO Trauma Fellowshipを応募する際に、世界中のHost centerの中からscrub-inできて、かつ整形外傷と遊離皮弁を両方学べるところがないか調べました。Host centerの中で唯一整形外科と形成外科が両方受け入れをしている病院を見つけ、それがBG Unfall Klinik Tübingenでした。2022年に日本医科大学佐藤先生が研修されていたので、連絡させていただき情報を収集しました。
BG Unfall Klinikはドイツ各地に12個ある、有名な外傷病院機構です。Tübingenは日本ではあまり知られていない街ですが、ドイツでは有名な大学街で、シュトゥットガルトから南へ30kmの場所にあります。小さな街ですが、旧市街には第二次世界大戦の戦渦を免れた見事な建築物が数多く残っています。BG Unfall Klinik Tübingenは市内中心部から北の丘の上、標高450mくらいの所に建っており、ドイツでは有数の外傷再建センターとして国内外から多くの患者様を受け入れていました。医療保険の関係で変性疾患はすぐ隣にある大学病院で、事故や労災での怪我はBG Unfall Klinikで、と搬入先が分かれています。本来なら病院敷地内に格安で単身寮を借りられるのですが、私は家族4人で渡航したので旧市街に宿を借りました。
(市内中心部Neckarbrückeから見える景色)
HPRVでは一般的な形成外科手術、手外科手術に加え、悪性軟部腫瘍も執刀し、四肢の軟部再建はもちろん、腹壁や胸壁の再建まで自分達で行っており驚きました。
UWCHは外傷チームと関節鏡チームに分かれていました。外傷チームはコモンフラクチャーから、関節内骨折、開放骨折、骨盤骨折、偽関節など数多くの手術を行っています。手術時間とコスト面にかなり気を配っており、その制限の中でも整復と内固定には決して妥協しない姿勢が印象的でした。透視時間も極力減らすように配慮しています。空いた時間で肩関節鏡や脊椎外傷の見学もすることができて大変勉強になりました。
ドイツ人の気質は合理的、真面目、勤勉、規律を重んじる、など日本人と似ているところが多いと感じました。手術に関して言えば、あまりアクロバティックな計画や手技はせず、AOの理念に忠実でシンプルで堅実なものが多いです。症例のDiscussionの最中に手術動画での教育の話題となり、私がYouTube(@S.Mitsuzawa) で手術動画配信していることを伝えるとamazing, fantasticと絶賛し、皆チャンネル登録して応援してくれました。
(HPRVのDr.Thiel)
(UWCH のProf. Histing)
(UWCH関節鏡チームのDr.AhrendとDr.Döbele)
週末には鉄道を使ってドイツ国内の他にもフランス、スイス、イタリアなどに旅行に行っていました。日本と違い、ドイツでは電車が時間通りに来ることは稀で、大幅に遅れることも多いため苦労することもありましたが非常に有意義な時間でした。
このレポートで書ききれないことを当院公式アカウント(Instagram:kcho_seikei、Facebook:神戸市立医療センター中央市民病院整形外科)でアップしていますので、ご興味ございましたら検索いただければ幸いです。
最後になりますが、このような貴重な体験をさせていただきましたAO Trauma Japanの皆様、渡航前に助言をいただきました日本医科大学附属病院の佐藤陽介先生、約3ヶ月の長期不在を認めてくださった当院スタッフ、ついてきてくれた家族に深く感謝いたします。