AO Trauma Course―Advanced Principles of Fracture Management Yokohama, 2019/2/28 – 3/2 井本 光次郎先生 (熊本赤十字病院)

今回、2019年2月28日から3月2日まで新横浜プリンスホテルにて開催されたAO Trauma Course―Advanced Principles of Fracture Managementに参加しましたので報告させていただきます。私は熊本赤十字病院にて1次から3次までの多様な整形外傷に対して診療を行っており、脊椎以外の外傷はほとんど手術を行っている状況にあります。そのような中で今回のAdvanced Courseにアプライし、日頃の治療マネジメントを再考する機会を得ることができましたので非常に楽しみにして参加しました。

AO Trauma Advanced CourseはBasicよりも少ない70名程の参加人数となり、それぞれの骨折について15分程度の講義が繰り返され、さらに4回のPractical exerciseおよび5回のSmall group discussionから構成されています。また、Facultyの先生も世界各地から招聘されており、同時通訳も用意されているため、講義も難なく聞くことができます。さらに特徴としては講義よりもDiscussionやPractical exerciseに重点が置かれております。講義はもちろん最新の知見もありますが、知識の整理程度にとどめて置く必要があるくらいスピード感を持って進行します。また、講義やDiscussion、Practical exerciseの合間には適度にCoffee breakも含まれており、ちょっとした息抜きも可能です。Lunch timeにはランチョンセミナーも用意されており、今回は膝周囲骨切りについて横須賀市民病院の竹内先生に非常にわかりやすい講演をして頂き、変形治癒例での骨切りの可能性についても学ぶことができました。

今回のPractical exerciseでは、骨盤創外固定、上腕骨近位端プレートの固定テクニック、C3の脛骨プラトー骨折の治療マネジメント、ピロン骨折の治療マネジメントについて骨折ボーンモデル(一部軟部組織付き)を用いて実習しました。高エネルギー損傷の場合、軟部組織を考慮した皮切の位置や展開、固定テクニックはいつも悩むところでもあり、他の施設の先生方や講師との討論の中で同じ思いであるという認識と共に新たな情報も増え、知識や理解を深めることができました。特にPilon骨折で粉砕の強い症例に対する治療は難渋するところでもあり、Staged protocolと適切な術前計画は治療成績にも直結します。今までfailure症例も経験しており、講師陣や同じ外傷整形外科医との議論をすることでの新たな発見や理解は今後の治療マネジメントに大きな影響を与えてくれものでした。

Discussionでは外国の講師陣も加わることがあり、英語で質問することは非常に勇気が必要です。しかし日本人の多くは英語が苦手なのが当然であり、このような少人数の場で質問することにおいて何も心配は必要なく、英会話の間違いにも総じて寛容でした。結果としては日本人講師の助けが必要でしたが、私も勇気を出して質問しました。今後もこのような形でのDiscussionは必要不可欠になると思われ、積極的に話すことが重要であると改めて感じました。
今回のAO Trauma Courseも朝から晩まで3日間のハードスケジュールでしたが、自分の治療マネジメントを再考するいい機会となり、次の診療からすぐに取り入れることを多く学べた有意義なコースと感じました。今後もさらなるステップアップを目指し、AO Trauma Courseを有効に利用したいと思います。