AO Trauma Course – Basic Principles of Fracture Management Kobe, 2017/2/16-18 小川 健先生 (水戸協同病院)

この度2017年2月16日~18日の3日間、神戸で開催されたAO Trauma Course-Basic Principle of Fracture Managementに参加させて頂きました。卒後18年間このコースに申し込んでいたものの、機会に恵まれず、参加することをほぼ諦めていました。しかも実臨床での骨折治療は大きな問題なく行えていましたので、参加者の称賛の声を聞きつつも、自分はこのコースに参加せずともどうにかなるのだと自負していました。そのため最近では骨折型をしっかりと分類し、綿密な術前計画を立てることも、かなり疎かになっていました。このBasic Courseは、決して研修医のためだけのコースではなく、知識のブラッシュアップや整理をしたい方、今更聞けない技術の基礎を学びたい方、骨折手術は若い先生たちがやってくれるからと興味が薄くなっている中堅どころの先生方にも、お勧めできるコースです。

具体的な内容を紹介します。1) 講義、2) Small group discussion、3) Practical exercise、4) AO skills Lab、の大きく4部構成です。
1) の講義は、インプット中心で、骨折の病態から治療に至る原理原則を中心に学べます。1コマ15-20分で、次から次に息つく暇も寝る(!?) 暇もなく進んでいきます。何よりも内容が厳選されており、プレゼンテーションもクリアカットで、目から鱗といったお話も数多く教えて頂けました。
2) のSmall group discussionが、アウトプットの場です。これにより、講義でインプットした内容が、自分の頭に定着し易くなります。日本人は特に人前で意見を述べることに抵抗感があり、恥ずかしく思いがちです。そこを講師の先生方がうまく誘導してくれ、仮に間違っていたとしても、順を追って修正してくれましたので、活発な質問や意見の共有ができました。そして、これが知識をより確実なものにしてくれます。骨折型の詳細やプレート固定法の原理など、聞かれた質問に間違って答えてしまうこともありました。しかし、それは経験年数に関係なく、そういうルーティンを行っていなかったことや原理を考えずに漫然と手術をこなしていたことの裏返しであり、非常に勉強になりました。また自分の中での反省点・改善すべきポイントも明確にすることができました。
3) のPractical exerciseは、体を動かすアウトプットの場でした。2人1組で、Lag screwの打ち方やTension band wiringの原理と実践など基本的なことを中心に、模擬骨を使って実習しました。6グループが1テーブルで、インストラクターが二人ずつ、上肢・下肢・骨盤まで計6つのexerciseが用意されていました。ちょっとしたコツや、陥りやすいポイントなどもインストラクターの方々に直接、教えてもらえました。
4) AO skills Labは、初日の午後に設けられ、骨折の基礎を体感できるようなセットが準備されています。例えば、螺旋骨折と横骨折を起こさせる装置と模擬骨を使って、発生にはどちらが大きな外力を要するか、等といった実験的な内容を体験できました。
1~4が適宜組み合わされており、3日間を通して非常に洗練されたプログラム構成であると感じました。

骨折治療について、どっぷりとつかった3日間を過ごし、明日からの実臨床が楽しみである反面、初心に戻ったような緊張感もあります。これから先にはAdvance CourseさらにMasters Courseまで控えていますので、まだまだ上を目指し勉強を続けて行きたいと考えております。
最後になりましたが、Chairpersonの土田芳彦先生をはじめ、Facultyの先生方、インストラクターの先生方、そしてこのコースを支えてくださったスタッフの皆様、自分の留守をお許し頂いた同じ病院に勤務している同僚の先生方に御礼申し上げます。ありがとうございました。