私は千葉県船橋市にある船橋整形外科病院で手術室看護師として勤務しています。手術室看護師になって10年目になります。船橋整形外科病院は病床70、手術室7部屋、2015年度の整形外科手術件数は4952件です。主な手術は、肩・肘、膝関節鏡手術、人工関節(膝・股関節)手術、脊椎外科、外傷骨折手術があります。外傷手術は比較的少ないですが、私は以前から外傷手術は好きで、ある程度基本的なところは理解していると思っていました。今回AO Trauma Courseの参加を薦められ、改めて勉強したい思い、申し込みました。以前参加したことのある先輩看護師からは「すごく勉強になるからいいよ」と言われていたので参加当日まで期待していました。

一日目は、骨折治療の原則、整復器具とテクニック、X線の特徴、X線写真の読影などスライドを見ながらメモを取り、かなり駆け足な印象を持ちましたが、逆に集中でき、骨折の基本となる考え方、知識を学びました。特にテンションバンドの原理は張力を圧迫力に変えるというもので、動的な絶対的安定性といわれ、動かせば動かすほど、曲げれば曲げるほど圧迫力がかかり、早期に動かせるというもので、聞いて「なるほど」と納得できました。実技では、ドリル先が鈍のものと、尖っているものでドリリングを行い、切れ味の違いとドリル先の温度の違いを比較しました。スライドとは違って実際に体験することでなぜ鈍のドリルがいけないのかを理解することができました。

二日目は、グループに分かれ、講義とディスカッション、実技を繰り返し行いました。ディスカッションでは病院によっての体位物品の違いや経験豊かな方の意見はとても勉強になりました。発表ではグループによって視点が違って色々な意見が出てきていて、「そういう考え方もあるのか」と参考になりました。プレート固定や髄内釘の作図をみてどういった整復鉗子が必要か、どの順番でスクリューを入れていくかなど、AOの原理・原則に従って議論しました。普段ではそこまで深く考えていなかったことも。段々どこに皮切しこの骨片を何で整復し固定しようか、骨折の全員で話し合い共通した認識で話し合いが進むようになってきました。関節内骨折で絶対的固定(解剖学的整復)でなければいけないところでは、何を使って整復し、骨片はラグスクリューを使用し固定するためにはどんな器械がどの順番で用意すればいいか、また、骨幹部骨折の相対的固定(長さ、軸、回旋を合わせる)で良いところでは髄内釘を選択し、を原則的には骨折部は切開しない手術となり、どの順番でスクリューを入れれば骨折部に圧迫をかけれるかなど話し合いました。スクリュー1本にもすごく意味があることがわかりました。骨折治療の奥深さも感じることが出来ました。

三日目は、大腿骨近位骨折、大腿骨転子下骨折について講義を受け、転子下骨折の実技を行いました。髄内釘はガイドピンの刺入の角度が思ったより難しく、はじめは大腿骨の骨幹部に入るような角度で入れればいいと思っていましたが、テーブルインストラクターの方がアドバイスしてくれて、大転子の頂部から小転子のしたあたりに向かって刺入しました。思ったより角度がついていたので本当にネイルが入るのか心配でしたが、無事に入れることができました。はじめのリーミングやネイルを髄内に叩いて入れるとき骨が割れるのではないかと心配になりました。大腿骨転子下骨折は高齢者が多く、骨も弱いので医師はそのような思いで手術をしているのかと感じました。そのときに、器械出しの役割の方がテンポよく器械を準備して渡してくれました。すごく安心感があって頼もしく感じました。医師が器械出しに求めるものとはこういうことなのかと思いました。以前からいい器械出しとはどういうことなのかと考えていましたが、きちんと必要な器械が準備されていて、次に使う器械が正確にテンポよく出てくる。そういう器械出しだと医師も安心して手術に集中でき、信頼関係が生まれるのだと思いました。それには、正しい知識と経験、医師が何をしたいのか、何に困っているのかなど考える力が必要だと感じました。でも実際は、看護師は手術をしたことがないし、何が大変なのか医師の立場に立って考えようとしても、自分の想像力では限界がありました。そういった中で、AO Trauma Courseは看護師向けに講義や普段経験できないプレート固定、髄内釘、創外固定などの実技を行ってくれているので、看護師の目線ではわからなかった、新しい発見ができました。また全国から参加した看護師と情報交換でき、いい刺激をもらえたので、今後も勉強と研鑽を続け、私も整形外科手術のエキスパートナースを目指したいと考えています。最後に、講師の先生やサポートしてくださったスタッフの皆様にはとても感謝しています。ありがとうございました。