私は、福岡県北九州市にある産業医科大学病院手術室に勤務しています。今回のAO Trauma Courseに参加した時の看護師経験年数は11年目、手術室経験年数は8年目でした。今年度は整形外科担当のリーダーとなり、後輩に対して教育する側の立場となりましたが、実際は後輩に対してしっかりとした根拠や自信を持って教育することができませんでした。また、当院手術部スタッフは手術室経験の浅いスタッフが多く、骨折手術に自信を持って臨めないスタッフが多い状況でした。それまでの自分は骨折手術の流れや使用器械の流れを何となく感覚的に把握しているだけであり、このままでは他スタッフが上達したり、自信を持たせたりできるような教育は難しく、まずは自らがステップアップする必要があると考え、AO Trauma Courseへの参加を決めました。

他病院の参加者は手術室経験が10年以上の方もいれば、経験の浅い方もいらっしゃいました。コースは全3日間で、1日目は12時30分開始で18時25分終了、19時から20時30分がレセプションでした。2日目は8時開始の17時50分終了、3日目は8時30分開始の16時終了というスケジュールでした。2日目と3日目は長時間の学習となりますが、約90分から120分毎に小休憩が挟まれるので、大きな負担は感じませんでした。
1日目は、約4時間の座学と1時間のAO Skills Labでした。座学では、骨癒合形態と固定法の関係や骨折治療の原則、AO骨折分類、X線の特徴と被爆予防や読影の基本、整復器具とそのテクニック、スクリュー・プレートの形状と機能、テンションバンドの原理、関節内骨折の治療原則、インプラント抜去の方法を学びました。AO Skills Labでは、ドリリング時の軟部組織損傷や熱発生、整復器具、インプラント抜去困難時の対応について実際に手技を行いながら学びました。AOTrauma Courseでは、模擬演習として1日目のAO Skills Labと2日目以降のPractical exerciseの2種類あります。AO Skills Labでは骨折治療における共通の基本的な手技を学び、Practical exerciseでは主な四肢骨折治療それぞれの具体的な手技を学ぶ、というイメージで良いと思います。模擬演習ではあらかじめ演習パートナーが決められていて、3日間を通してその方と演習を行いました。1日目は、骨折治療において基礎となる知識や考え方を学ぶことができ、それらが2日目以降の学習にも生きてきました。レセプションは、参加者の皆さんと講師の先生方を交えた立食形式の懇親会でした。人見知りの自分は緊張しましたが、病院は違っても手術室勤務という仲間であり、自然と会話が盛り上がりました。

2日目からは、座学に加え、Practical exerciseやSmall group discussionが行われました。主な四肢骨折治療について、まずは座学で基本的なことを学んでからPractical exerciseやSmall group discussionで知識を深めるという流れでした。Practical exerciseは全5回、Small group discussionは全4回行われました。座学では、スクリュー・プレートを用いた内固定、ロッキングプレート(LCP)・髄内釘固定・創外固定の原理や実際、開放骨折やコンパートメント症候群、大腿骨骨折について学びました。Practical exerciseでは、脛骨遠位部骨折のLCPによる固定や脛骨の髄内釘、脛骨骨幹部骨折に対する創外固定、大腿骨転子部骨折に対する内固定の実際の手技を経験することができました。Practical exerciseは先に述べたように演習パートナーとペアで行うので、医師役と看護師役に分かれ、両方の手技を学べました。Practical exerciseで実際に手技を経験することで、使用する器械を使用する順番に並べる場面は特に大切であると感じました。この準備がしっかりとできることでパートナーの方への器械の受け渡しは円滑で、実際の手術に置き換えて考えても円滑に進行させることができると思いました。自施設では、どんな経験年数の看護師であってもこの準備をしっかりとできるような方法を考えていく必要があると感じました。Small group discussionでは、手術室における安全管理や手術における術前・術中準備について議論しました。グループメンバーだけでなく、グループ発表によって他グループでの議論で出た各病院での考えや工夫を知ることができ、「そういう工夫があるんだ」「自施設でも導入してみよう」と思うような学びが多々ありました。また、各日の最後にはクイズ形式による理解度確認があり、これにより1日の学びを自ら考えながら振り返ることができ、得た知識や経験を自分のものとしやすかったです。

今後は、今回得ることができた知識や経験を実際の手術を通してまずは自分のものとし、その後、他の手術部スタッフへしっかり伝達していきたいと考えています。そして、近いうちに整形外科医師から「前と比べて手術が円滑になったね」と言われるように努力していきたいです。そして、再びAO Trauma Courseに参加し、自分の知識や経験をブラッシュアップしたいと思います。
最後に、今回のAO Trauma Courseにおいて、講師となっていただいた先生方やスタッフの皆様のおかげでとても充実した研修を受けることができ感謝いたします。ありがとうございました。