Berufsgenossenschaftlichen Unfallk Tubingen, Germany, 2017/9/4-10/14 吉田 昌弘先生 (名古屋第二赤十字病院)

私は2017年9月4日から10月14日にかけての6週間、ドイツ、チュービンゲン、Berufsgenossenschaftlichen Unfallk Tubingen(BG Trauma Hospital、BG klinik)におけるAO Trauma Fellowship Programに参加いたしました。
先に留学された先生方も書かれていますが、チュービンゲンはドイツ南西部に位置し、メルセデスベンツ社で有名なシュツットガルトから電車で1時間に位置する大学町です。ネッカー川沿いに旧市街が広がり、こじんまりした街ではありますが、古い歴史的建造物の中にオシャレなカフェなどが散在し、週末になると観光客がどこからともなく集う、まさにドイツを凝縮したような美しい街でした。
BG klinikは街の中心から少し離れた高台に位置しましたが、すぐ横に大学病院があり、頭部・胸腹部外傷は大学病院に搬送され、四肢外傷はBG klinikに搬送されるといった独自の外傷搬送システムがとられていました。

BG klinikでの外科系部門はUWCH(整形外科部門)、AQOR(脊椎外科脊髄損傷部門)、HPPV(形成外科、手外科)、MKG(顔面口腔外科)に分かれており、UWCHでは外傷専門のProf.Dr.Ulrich Stockle先生が外傷班、人工関節班、スポーツ関節鏡班を束ねておられました。私は外傷班の手術を中心に、6週で90例近い症例に手洗いで参加しましたが、その大部分が外傷の手術であり、外傷の手術が全くない日というのは存在しませんでした。
特に外傷班チーフのDr. Stubyの手術を中心に参加させていただきましたが、脆弱性骨盤骨折に対するNavigation下でのセメント併用IS screw手術や寛骨臼骨折に対するPararectus approach、他病院から紹介された長管骨偽関節に対するrecovery surgery、 専用のアームホルダーを使用した肩甲骨骨折手術、上腕骨近位部粉砕骨折に対してのPrimaryでのRSA、上腕骨遠位部粉砕骨折に対するprimary TEA、 肘関節のterrible triad症例、大腿骨Hoffa骨折、 小児骨折に対するESINでの治療などの興味深い症例から、比較的若手の先生が行う橈骨遠位端骨折、鎖骨骨折等commonで我々が日本でよく遭遇するような骨折症例にも多く参加させていただきました。特に興味深かったのは、ドイツの外傷センターでも日本同様高齢者骨折の症例が多く、IS screwやPFNA、PHILOS plateに、症例に応じてセメントaugmentが併用されていることであり、日常多くの高齢者骨折を扱う我々も今後参考にしていくべきだと感じました。また大腿骨近位部骨折症例は、全身状態が許せば原則6時間以内で手術を行っていることも印象的でありました。
また外傷班の手術と並行して、年間900件の人工関節、多くの膝の骨切り手術が関節班によって行われており、こちらも興味があったため、外傷の手術の合間をみて見学させていただきました。
カンファレンスも合同で行われていたため、普段、外傷と人工関節を行っている自分にとっては非常に有意義な研修となりました。外傷も関節手術もどちらも興味がある先生には特におすすめの施設であるといえると思います。

最後にAO TraumaおよびAO Trauma Japanの皆様、1カ月半の研修を認めていただいた名古屋第二赤十字病院の先生方にこの場をお借りして御礼を申し上げます。

写真1: Tubingen旧市街
写真2: 最終日Prof.Dr.Ulrich Stockleから修了書の授与