AO Trauma Pelvic Workshop with anatomical specimen Chiang-Mai, 2018/12/20 – 12/22 佐々木 信幸先生 (福島県立医科大学)

今回、私は、AO Trauma JapanとAO Trauma Asia Pacificの御高配により、2018年12月20日~12月22日にThailandのChiang-Mai大学で行われたAO Trauma Pelvic Workshop with anatomical specimenに参加させていただきました。
Chiang-MaiはThailandの北部の都市で、暑すぎず過ごしやすい気候でした。ナイトマーケットでTシャツや民芸品などのお土産品が安く売られており、夕食後にお散歩で見て回ることができます。建物の中は冷房がすごく効いて寒いので、長袖を持参して正解でした。
講習の参加者はThailandの先生を中心に合計40名で、Thailand以外からは25名が参加していました。日本からの講習参加者は私と長崎大学の土居満先生の2名でしたが、富山市立富山市民病院の澤口毅先生が講師として参加されていましたので、心強かったです。今回の講習はAO Trauma Asia Pacificから交通費、宿泊費の補助をいただきました、本当にありがとうございました。

講習の初日は骨盤輪骨折と寛骨臼骨折のレクチャーとGroup discussion、2日目はChiang-Mai大学で御遺体を使用したCadaver training、3日目は再びGroup discussionとModel boneを用いたScrew固定の実習でした。 初日のレクチャーは分類などの基礎的な内容と、それぞれの骨折型に対する治療戦略の考え方、整復や固定方法の実際、アプローチ方法などの内容でした。基礎的な内容より、具体的な骨盤輪・寛骨臼骨折の骨折型別の治療戦略や整復方法の考え方、実際の整復ツールの使い方やそのために必要なアプローチの知識と技術の習得を重視した内容となっていました。 今回の講習会を通して、特に印象的だったのは、日本のPelvic courseでも強調されていましたが、さらに単純レントゲン写真や透視画像の撮影方向と読影に注意を払うということでした。これまで、骨盤正面、インレット、アウトレット、腸骨斜位、坐骨斜位の5つのアングルしか考えていませんでしたが、インレット、アウトレットに斜位を組み合わせて、さらに骨盤の構造を、再現性を持って評価できることを教えていただきました。また、レントゲンの読影の際には、骨折部の評価ばかりに目が取られていましたが、ASIS、AIIS、PSIS、大小坐骨切痕などのそれぞれの解剖学的な指標同士の位置関係を詳細に把握することで、Screwなどの固定材料の位置や矯正する方向を適切に評価し、安全な手術を行う大切さを教えていただきました。

2日目のCadaver trainingでは、Modified Stoppa approach、K-L approach、Trochanteric flip osteotomyに加え、Para-rectus approachも教えていただきました。段階的に皮切を広げていくことで、それぞれのアプローチの視野や器械の挿入可能な方向などを体験でき、貴重な経験になりました。
3日目の寛骨臼骨折のGroup Discussionは、それぞれの骨折型の症例から治療計画をシミュレーションしてDiscussionする内容でした。非常に実践的な内容で、整復方法やアプローチのメリット、デメリットを骨折型別に教えていただき、非常に勉強になりました。Model boneを使用したScrewによる小侵襲固定の実習もあり、Navigationも用いて、IS screw、Sacral screw、後柱screw、前柱screwなどのコツなどを指導していただきました。

3日間のcourseの夕食も海外の先生たちと一緒に食事をしていたので、実際の講習の際にも話しやすくなり、非常に雰囲気が良く、リラックスして参加できました。また、内容も非常に充実した内容で、私にはもったいないほどの講習でした。 最後に、このような貴重な機会を与えていただいた澤口毅先生をはじめAO Trauma JapanとAO Trauma Asia Pacificの諸先生、講習やCadaverの準備やホテルと航空券などの準備をしていただいたAO staffやAO secretaryの皆様、講習会に送り出していただいた福島医大整形外科の同僚の先生方に深く感謝いたします。