AO Trauma Course- Basic Principles of Fracture Management for ORP 新横浜プリンスホテル, 2023/8/26-28 大川 絵理香 看護師 (松田整形外科記念病院)

私は北海道札幌市にある松田整形外科記念病院の手術室に勤務しています。手術室看護師となって10年目です。松田整形外科記念病院は病床数60床、手術室2部屋、手術室看護師は8人です。スポーツ外来を行っており、肩・肘・膝関節鏡手術、人工関節(膝・股関節)手術、脊椎手術、口腔外科手術(上下顎形成術)をメインとして行っていますが、市内の救急当番もしているため外傷骨折手術も多く行っています。

スタッフは少なく手術で使用する器械の依頼や滅菌前の点検や個数カウント・滅菌を看護師で行っています。個々の負担や責任も大きいため、私だけの知識や経験では安全に手術が準備できないと感じ、さらに骨折手術について知識を深める必要があると思い参加を決意しました。

1日目は座学中心でした。骨の構造から始まり間接的骨癒合や直接的骨癒合の違い、絶対的安定性や相対的安定性の違いについて学ぶことができ、髄内釘は相対的安定性で仮骨を伴いながら癒合するということが理解出来ました。解剖学的整復と機能的整復の違いも最初は難しく感じましたがARSのテストで間違いながらも繰り返し出題されるので最後には理解することができました。またX線の特徴と被ばく予防の講義では今までよくわからなかったX線について学びました。中でもX線管から放射線が放出されるので側面での撮影の際は術者や器械出し看護師の被ばく量が増大し、離れることで安全であるということを知りすぐに実践しようと思いました。

AO Skills Labではドリリング時の軟部組織の損傷やドリリング時の熱発生についてボーンモデルを用いての講習でした。ドリル先が鈍であるもの鋭であるものの熱上昇の違い、鈍の方が60度近くまで上昇することがわかりました。その予防として生理食塩水で冷やすことや事前の準備段階でドリル先を確認することや新品を準備することが必要だと学びました。さらに意外であったことはドリルよりもKワイヤーの方がねじ切りしていないため熱上昇しやすい事でした。Kワイヤーの方がスルスルと入るため熱上昇は低いと思っていました。今までドリルの熱発生について意識することがなかったので今後は注意していく必要があると思いました。またインプラント抜去困難時の対応も実際に知ることができました。当院でもインプラント抜去困難例があり抜去時のドリルの使用方法に自信がありませんでしたがハローリーマーや摘出用ドリルの使用方法を見ることができ、カーバイドドリルを使用するときは金属片が体内に入り込まないように透明ドレープを貼っているなど他施設での対応を知ることができました。 

2日目と3日目はsmall group discussionやpractical exerciseが中心でした。Small group discussionでは手術室における安全管理や術前・術後準備について話し合いました。話し合いの中で他施設の様々な対応を知ることができました。例えばトラクション体位時の患側上肢の固定法に関しても若杉手台を使用する施設があったり離被架に専用の抑制帯で固定したり様々でした。他の施設での様々な対応を知ることで困難な場面に遭遇したときの選択肢が増えたと感じました。Practical exerciseではラグスクリュー固定法やネイル挿入、創外固定を実施しました。ラグスクリュー固定では骨折部にきれいに圧迫がかかることに感動しました。創外固定ではペアになった方と強固な固定にするためにはどのようにしたらよいかディスカッションし、固定の難しさを実感しました。実際は軟部組織や神経・血管があると思うと執刀医は骨折を固定する事だけではなく多方面に注意しなくてはいけないため、スムーズな器械出しがより重要であると実感しました。

3日間全体を通して印象的だったのは大学病院で行われている術前ミーティングの取り組みの話でした。手術前日に執刀医と外回り看護師・器械出し看護師の3人で行い、医師が作成する手術計画書をもとに体位や必要器械、手術展開・整復法や内固定の方法をミーティングしているということでした。それにより看護師の手術への理解が深まりスムーズで安全な手術ができるということでした。最初に聞いたときは「そんな時間ないしうちではできないな」と思っていました。同じような意見が最終日の質問タイムで上がっていてその返答がとても心に響きました。それは看護師の意識を変えることから始めたということでした。そのための準備期間に2年かかったと聞き努力されたのだと思いました。私はその取り組みを聞いたとき「時間がない。人手が足りない。医師の理解は得られるのか。」という否定的な感情でした。現状は日々手術に必要な物品が揃っているのかという不安感、執刀医は何をしたいのかわからないままで手術に入っていました。しかし忙しさや人手不足を理由にしていたら現状は変わらなく時間が過ぎていってしまいます。できることから、1症例からでも執刀医と看護師で術前ミーティングをしていきたいと思いました。

今回3日間で骨接合について理解が深まりましたが知識や技術だけではなく手術室看護師として意識が変わりました。参加している方々から話を聞くことや情熱的な講師から刺激を受けました。もっと知りたいという気持ちが強くなりました。整形外科手術のプロフェッショナルになれるよう今回のコースを振り返り学習していきたいと思います。

最後に今回のAO Trauma Courseにおいて講師と運営スタッフ、すべての皆様に深く感謝申し上げます。この経験や学んだことを他スタッフに周知し日々の手術室看護に生かしていきます。ありがとうございました。