AO Trauma Course—Managing Pediatric Musculoskeletal Injuries 横浜, 2022/07/07 - 07/09 金崎 彰三 先生 (大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター)

2022年7月7日から9日に横浜で行われたAO Trauma Course – Managing Pediatric Musculoskeletal Injuriesに参加してきましたのでご報告いたします。

私は大学病院の高度救命救急センターに所属しており普段は多発外傷や骨盤骨折などを診ていますが、小児の骨折は年に数える程しか搬送されてきません。TENは病院に購入してもらっていましたが、小児骨折に対する知識・経験の不足、苦手意識を感じており本コースが開催されると聞いてすぐに申し込みました。参加者は30名程度で、やや専門性が高い内容ということもあってか5年目以下の参加者はおらず、10年から20年の臨床経験のある先生が多かった様です。Facultyとして国内からはチェアパーソンの佐藤徹先生をはじめ、松村先生、峰原先生、宮本先生、上田先生、二村先生の6名、海外からはZoomにてスイスのSlongo先生、Kaiser先生、インドのAroojis先生の3名が参加されていました。スイスではコース開始は真夜中、インドでは明け方だったようで海外Facultyの先生方にとってはかなりタフなスケジュールだったようですがそれを感じさせないパワフルさでした。

海外Facultyを交えての
Zoomを使ったLecture風景

コースの初日は朝9時からスタート。コロナ禍もあり久しぶりのコース参加であること、海外Facultyのレクチャーは英語であることから多少の緊張感がありましたが、Warm-up Casesでは早速ARSにて治療方針を答える聴衆参加型の形式だったためすぐに入り込めました。レクチャー、グループディスカッション後にもう一度最初のケースの治療方針をARSしてどう変化したかを確認するという試みが面白いと感じました。レクチャーの内容としては、総論から始まり、各論に移っていきます。レクチャーの後、グループディスカッションへと続くのはBasic/Advanced Principle Courseと同様です。国内Facultyの先生が進行するものと、海外Facultyの先生が参加するものがあり、海外Facultyの先生がZoomを通して参加されるものでは直接意見を聞くことができる贅沢な時間でした。3歳未満の大腿骨骨幹部骨折ではOver head tractionをしたまま自宅退院させるという日本ではとうてい考えられない治療方針を伺った時には驚きました。

Practical exercise にて
パートナーとの実技風景

初日の実技実習は大腿骨のESIN挿入でした。実臨床では見よう見真似で実践してきたためSlongo先生をはじめTable Instructorの先生方の実経験や手技のコツを聞けたことは非常に有益であり、これだけでも元を取った気がしました。Practical exerciseを伴うコース参加が久しぶりだったこともあり実に楽しく感じました。Practical exerciseのパートナーだった香川労災の金子先生が実は私と同じ大分大学出身だったということもありすぐに打ち解けて和気あいあいと実習ができました。

白熱したディスカッション

2日目は最も長いタフな1日です。朝8時から始まり、夕方の6時までみっちりプログラムが詰まっています。それでもレクチャー、ディスカッション、実技と目まぐるしく進んでいくので、長いと感じる間も無く1日が終わり、ヘトヘトになっているといった状況でした。その中でも国内のみならず海外Facultyの先生方へどんどん直接質問できるため、自分の疑問や消化不良は残さずやっていくことができました。

3日目は私を含めて参加者に若干の疲れも出ていましたが、Slongo先生を筆頭にFacultyの先生の熱量は変わらず、むしろ上がっているようにも感じる熱い講義を受けることができました。実技実習でも、デモンストレーションで松村先生が橈骨頭骨折をESINの先端を回旋させて整復すると会場から拍手が起こり大変盛り上がりました。

参加前はプログラムを見て3日間の長丁場だと覚悟していましたが、終わってしまうとあっという間の3日間でした。臨床での経験不足を補うという私の目的は十分に達成され、これから小児外傷が来た際には苦手意識を持たずに対応できる自信がついたと思います。  

最後になりましたが、熱心にご指導下さった国内海外のFacultyの先生方、コース運営に携わったAO Trauma Japanの方々、留守中ご迷惑をおかけした大分大学整形外傷チームのスタッフに深謝申し上げます。