8月23日から10月1日までの6週間、ドイツのUniversity Medical Centre of the Johannes Gutenberg-University Mainzで研修してきましたのでご報告いたします。

研修先を選ぶにあたり、①せっかくなのでscrub inして手術に参加できる施設が良い、②せっかくなので誰もが知っているようなspecialistの先生に会ってみたい、という2点が希望としてありました。これまでの先生方のレポートから充実したフェローシップになりそうであること、近年のトピックである脆弱性骨盤骨折の分類でも有名なRommens教授の手術を見てみたい、という理由でマインツを希望しました。
電話インタビューの際に、Rommens教授が2021年9月末で退官と聞き、さらにコロナの影響もあり、半ば諦めかけていましたが、6月中旬にRommens教授の退官前のスケジュールで受け入れ可、との連絡があり、何とか職場の許可を得て渡独しました。

マインツはラインラント=プファルツ州の州都で、フランクフルト空港から電車で30分程度、人口20万人ほどの街です。街の歴史は古く、古代ローマ時代の遺跡が残っており、旧市街の中心には大聖堂があり、少し郊外に行くと緑が溢れていて過ごしやすい街です。
過去の先生方のレポートにもありますように、毎日7時30分のミーティングから始まります。前日の手術症例の報告、夜間の救急患者の報告が簡潔に行われ、8時過ぎには手術室へ向かいます。手術室は4部屋あり、それぞれ人工関節、外傷、関節鏡、脊椎、とメインで使う部屋が決まってはいますが、手術の進捗状況次第でスケジュール(執刀医含む)がフレキシブルに組み替えられ、毎日15件くらい、外来手術と合わせると20件近い手術が行われています。夕方16時からもカンファがあり、翌日の手術症例の確認、日中の急患の報告が行われ、1日が終了します。夜勤帯でも手術が行われており、hip fractureは夜中でも手術が行われていました。夜勤帯で手術ができなかった場合は、翌日の日勤帯に他の手術より優先して組まれ、来院後24時間以内に手術が行われていました。どの手術も自由に見学でき、外傷の手術は積極的に手洗いして参加させてもらいました。術直前に自分ならどう手術するか聞かれたり、術中の整復方法や手技の日本との違いをディスカッションしたり、自分が入る手術自体は1日3例ずつ程度ではありますが、非常に濃密な日々を過ごすことができました。

6週間の間に、脆弱性骨盤骨折の手術が3例、寛骨臼側のインプラント周囲骨折が2例、青壮年の寛骨臼骨折が2例、腸骨翼の骨接合が1例ありました。日本では現在利用できないsacral barの手術を始め、Rommens教授、Dr. Wanger の解説付きで間近で見ることができ、非常に勉強になりました。

また、術中に若い先生たちに丁寧に指導していたり、急に研究の解析方法のディスカッションが始まったり(昨年のpublicationsは68)、臨床、研究、教育の全ての面を見ることができ、大学病院に勤める身として刺激を受けました。
個人的に現在の職場で働き方改革に取り組んでいたこともあり、Assistentinnenの先生と日本とドイツの働き方、キャリアの積み方の違いを話す機会があったのも良い経験でした。


研修外の話題としては、ドイツではワクチン接種証明があれば特に制限を受けることはありませんでしたので、日常生活や近隣の観光には特に不自由はありませんでした。ドイツといえばビールのイメージですが、マインツ近郊はラインガウ、ラインヘッセンというワインの産地でもあります。オクトーバーフェストは開催されていませんでしたが、この時期にしか飲めない発酵途中のワイン、フェダーバイサーを満喫できました。

最後になりましたが、このような貴重な機会を与えていただきました、外傷センター 宮本俊之准教授、AO Trauma Japanのみなさま、コロナ禍で大変な中6週間の渡航を快諾していただきました整形外科 尾崎誠教授、渡航前に助言をいただきました香川県立中央病院の井上智雄先生、留守中のフォローをしていただいた外傷センターのみなさんに感謝します。今回の経験を今後のキャリアに活かしていきたいと思います。

写真1:整形外科病棟の外観
写真2:Rommens教授と
写真3:Wagner先生と