2021年11月17日から19日までの3日間、TKPガーデンシティーPREMIUM名古屋ルーセントタワーおよび名古屋市立大学医学部(桜山キャンパス)で開催されたAO Trauma Masters Course-Upper Extremity with Anatomical Specimensに参加してまいりましたので報告いたします。私は現在公的病院で勤務しており、外傷を含めた一般的な整形外科疾患に携わっておりますが、専門は手外科であり興味の大部分は外傷でありますので、本コースに参加できることで知識や技術の更なる向上が期待できると考え、募集開始早々に応募し今回参加させてもらうことになりました。

はじめの2日間は会議室での講義とGroup discussion、3日目は名古屋市立大学のサージカルトレーニングルームでのCadaver trainingが朝から夕方までみっちりと行われます。講義や質疑応答は原則英語で行われますので私もはじめは張り切って英語でトライしていましたが、国内講師の方々に訳していただけるため気づけば日本語になっていました。Group discussionではFacultyの先生方が準備してくださった様々な症例について、その診断から治療法、後療法にいたるまで詳細に教えていただけるので、終了後には“上肢の外傷はもう怖くない”といった錯覚に陥るほどでした。

(初日) 前日からの名古屋入りということもあって期待と興奮で朝早く目覚めてしまい、当日は開始予定の1時間も前に会場入りしてしまいました。もちろん一番乗りでした。

初日は予定より少し早めにスタートし、“肩甲骨・鎖骨骨折”、“上腕骨近位部骨折・Shoulder Arthroplasty”、“上腕骨骨幹部・遠位部骨折”と3つのModuleで構成されていました。Module1ではKoh先生、Nam先生による鎖骨骨幹部・遠位端、SSSC(Superior shoulder suspensory complex)、関節窩および肩甲骨骨折についての講義とDiscussionが行われました。最近トピックとなっている合併靭帯損傷の取り扱いなども丁寧に教えていただきました。特に肩甲骨に関しましては、私は恥ずかしながらほとんど手術の経験もなかったので手術適応やアプローチなど学ぶことはとても多かったです。Module2ではKoh先生、Nam先生、Bain先生による上腕骨近位部骨折およびReverseを含めたArthroplastyについての講義が行われました。DiscussionのFacultyが小林先生だったため、どの程度までの骨折が保存療法で可能なのかなど、先生のご経験を踏まえて丁寧に教えていただきました。

Module3ではKoh先生、Leung先生、金谷先生による上腕骨骨幹部骨折(髄内釘、MIPOでのプレート)、橈骨神経麻痺、上腕骨遠位端骨折についての講義でした。特に上腕骨遠位端におけるCoronal shear fractureの治療法・手術アプローチに関してはFacultyでも意見が分かれることもあり、骨折治療の難しさを実感しました。例年であればこの後にレセプションもあるようですが、今年はコロナ禍のため終了後解散となり、会場近くのひつまぶしで自分を労いました(ちなみに前日は台湾料理〇仙)。

(2日目) 朝の8時から夕方7時までのスケジュールで、“肘関節周囲骨折・脱臼”、“複合肘関節外傷”、“前腕骨幹部・遠位端骨折”、“複合手関節外傷・舟状骨骨折”と4つのModuleでした。Module4、5ではBain先生、Koh先生、Leung先生による講義およびDiscussionが行われました。特にO‘Driscollの提唱したPLRI、PMRIやTrans Olecranon Fracture Dislocationなどを学んだことで、改めて肘関節外傷の複雑性や治療方針・術前計画の重要性を認識することができました。Module6、7では金谷先生、善家先生により舟状骨偽関節やFlapについても講義していただき、少し専門性の高いものでしたが最後まで内容の濃い一日でした。終了時にはさすがにぐったりしたため、夕食(安定の矢〇とん わらじかつ)後に名古屋で有名なサウナ(ウェ〇ビー)で心身ともにリフレッシュし、翌日のCadaver trainingに備えました。

(3日目)

最終日は場所を名古屋市立大学(桜山キャンパス)に移してのCadaver実習を行いました。まず国内Facultyの先生方がそれぞれデモを行い、その後各グループに分かれて(2人で1肢)展開を行いました。いままで経験したことのないような肩甲骨体部・関節窩の手術展開や、普段ではあまり見ることのできない腕神経叢の解剖など、昼食の休憩をとるのももったいないほど一日があっという間に終わってしまった印象です。Cadaverの状態も非常によく、前日に善家先生が血管内に樹脂を注入していただいていたおかげで、毛細血管まではっきりと確認することができました。また、幸いなことに私と同じグループに外傷再建のSpecialistの先生も参加されていたため、Free dissectionでは広背筋皮弁挙上のノウハウを教えていただき、大変贅沢なコースとなりました。

本コースを終えて、この3日間は時間的にも体力的にもかなりハードではありましたが、それ以上に得られるものが非常に多く、明日からの診療に直結するものばかりでした。また、休憩時間などには同世代の先生方とも話をする機会も多く、大きな刺激となりました。今回はCovid-19の感染状況が緩和されていたタイミングでの開催で、参加できたこと自体運がよかったと思います。それでも2年ぶりの開催で、海外のFacultyはWebでの参加だったため、途中通信状況が悪くなることはありましたが、大きなシステム上のトラブルもなく最後まで円滑に終了することができたのは、スタッフのご尽力の賜物だと感じました。このような機会を与えてくださったChairpersonの金谷先生を始め、国内外の講師の先生方、名古屋市立大学の皆様方、AO Trauma Japanのスタッフの皆様に深謝申し上げます。最後に、ご献体いただいた皆様方とご遺族の方々に、厚く御礼申し上げます。