AO Trauma Course – Basic & Advanced Principles of Fracture Management Yokohama, 2018/8/23-25 奥田 和弘先生 (おもろまちメディカルセンター)
2018年8月23日(木)から25日(土)まで横浜でAO Trauma Courses-Basic Principles & Advanced Principlesが開催され、テーブルインストラクター(以下TI)として初参加させていただきましたので報告させていただきます。 私は2001年に岡山大学整形外科に入局&大学院に進学したこともあり、医師になった当初から最新の骨折治療に触れる機会に恵まれたことや、その後関連病院の赴任先にも幸運なことにAO法を実践されている先生方や役員の先生がいらっしゃり、Basic Principles Courseを2007年、Advanced Principles Courseを2009年に受講しました。家庭の事情で2010年に沖縄に移住した後には、Master Courseを2013年に受講しましたが、すでに5年以上経っており、近々何らかの形で参加したいと考えていたこと、AO分類が今年1月に改訂されたという話を耳にし、今臨床の現場で行っているskillや知識のupdateが必要だと強い危機感を覚えたことがTIへの応募のきっかけです。再度コースを聴講することも考えましたが、TI募集のメールが来たこともあり、応募しました。参加決定メールが7月末にあり、その中にPractical Exercise(PE)で使用するインプラントについての知識の確認と、Videoを事前に見て参加者からの質問に答えられるように準備をするようにと記されていました。8月から仕事の合間や自宅で少しずつVideoを見ていきましたが、英語版だったこともあり、繰り返し視聴し、また間違って解釈しないようAO法骨折治療第2版で確認を行いました。
さて、コース前日の17時よりFaculty meeting、TI meetingが開催されました。TIは私を含めて6人でしたが、初参加は私だけでした。Skills labは実際の会場でstation AからKまで一つずつリハーサルが行われ、その場で時間配分や問題点の洗い出しや討論も行われました。Skills labは自分がBasic Principle Courseを受講した際には行われておらず、実際のものに触れたのは初めてでしたが、骨折治療の理論を理解するうえで手助けになるものだと感じました。その後、TIとしての心得や、カリキュラムの説明や、PEでの指導ポイントの説明もありました。この時Facultyの先生がみなさん口を揃えたように、「TIの裁量にお任せしますから宜しくお願いします。」と言われるのを聞いてTIがPEにおいてdiscussionも含めてテーブルを仕切っていくことが初めてわかり、自分の認識が少し甘かった(それまではPEではFacultyの先生が仕切ってTIはサポートをするものだと思っていました)のを痛感しました。全てが終了したのは21時頃でした。
1日目は朝7時半よりFaculty meetingがあり、海外のFacultyも交えての打ち合わせが行われました。9時からコースは始まりましたが、TIとしての仕事が入っていなかったため、早速Advanced Principles Courseの講義を聴講しました。新しいAO分類の説明を含めた総論的な講義が分かりやすく行われていました。TIとしての初仕事は12:45からのSkills labでした。Skills labは1グループにつき10分間で講義を行い、12グループをFaculty1名とTI1名が交代で講義を行います。担当したのは髄内釘の歴史的変遷と髄内釘の適応範囲、髄内釘の長さ、太さ、骨折型による安定性の確認を実際のモデルを参加者に手に取ってもらって体感してもらうという内容でした。初日の最初の仕事ということもあってか、最初のうちはうまくしゃべれず、一緒に担当していただいた土井武先生にはご迷惑、ご面倒をおかけしました。その後もBasic PrinciplesとAdvanced PrinciplesのPEがほぼ休みなく19時まで行われました。その後はCourse receptionが行われ、これまであまり話をしたことのないFacultyの先生や、一緒に参加しているTIの先生方、同じ県から参加している受講生達とも交流を深めることができました。
2日目は朝8時からAdvanced PrinciplesのPEが始まりました。1日目とは違って講義を聴講できる時間はほとんどなく、昼休みも20分ほどで前日のskills labのopen roomが開催され、その後もPEが夕方まで続きましたが、PEは使用経験のあるインプラントだったこともあり、落ち着いて取り組めたと思います。夜にはFaculty dinnerがあり、その後もFaculty、TIの先生方と夜遅くまで交流できたことは有意義でした。
3日目も朝8時からAdvanced CourseのPE(Pilon骨折)が始まりました。時間的にも少し余裕があり、脛骨の進入方法のdiscussionも行えました。空き時間の後、および昼食前後には、それぞれBasic CourseのPEが行われ、TIの仕事は完了しました。 3日目は午前、午後ともに約1時間の空き時間があり、その間にAdvanced Courseの講義を聴講できました。3日間のPEのTIを終了して、Basic Courseはscrewの挿入、lag screwテクニックからはじまり、プレート固定、髄内釘、創外固定、テンションバンド固定と次へのexerciseにつながるように構成されており、参加者もだんだんと手際よくなってきているように感じました。一方、Advanced Courseは多骨片の関節内骨折の手技でより難易度の高いものでしたが、実際の手術を意識しながら取組み、質問も「実際の手術ではどうなっている(どこまで可能)んですか?」という質問が多かったと感じました。今回初めてのTIでしたが、骨折治療を基本的なところから再確認できただけでなく、最新の内容も学ぶことができ、とても有意義であったと思います。また、TIの仕事は後輩への教育という面でも今後に生かせる経験ができたと思います。
最後になりましたが、コース期間中にお世話になったFacultyの先生方、TIの先生方、AO Trauma Japanの関係者の皆様、およびAO Trauma Coursesにかかわった全ての皆様に深く感謝いたします。