私は小豆島中央病院の手術室/中央材料室に勤務する看護師です。当院は島内にある2つの公立病院が合併し、2016年に開院しました。開院後、手術件数が大幅に増加し、特に整形外科の手術の多さと器械の繁雑さに困惑していました。直接介助は器械と手順を覚え、件数をこなすうちになんとなく出来るようになる感じでした。しかし基本原理が把握できていないため、器械出しはできてもそれを他者に指導することが難しく、どうすれば分かりやすく伝わるのだろうと悩んでいました。 合併後、同部署に配属となったスタッフが整形外科手術に非常に詳しく、聞けば当コースに参加したのがきっかけになったと知りました。私も知識を深めたいと思いAO Trauma Course-Basic Principles of Fracture Management for ORPに参加させて頂きました。

3日間あるコースの1日目は座学が中心で、骨折の分類、治療原則やスクリュー、プレート、インプラント等の構造と原理などを学ぶことが出来ました。講義は適宜ARSで習熟度を確認し、全体の認識が不十分な項目についてはもう一度分かりやすく教えて下さったので理解しやすかったです。タイトなスケジュールでしたが、疲れたと感じた頃にcoffee breakがあり、一息ついた後にまた集中して講義に臨むことができました。初日の最後にはAO skills Labがあり、ドリリング時の熱発生の実際、各種整復器具の取り扱い、インプラント抜去困難時の対応などを行いました。その中で特に印象に残ったのはドリリング時の熱発生です。ドリル先が摩耗したものと新品もの、キルシュナー鋼線では熱発生に違いがでることを体験できました。摩耗したドリルでは骨を貫通するまでの時間が長く、摩擦が大きくなるため熱発生も高く、その熱により骨・細胞壊死が起こる可能性が高くなる。そればかりか、貫通した感覚に乏しため、対側の組織の損傷に繋がる恐れがあると知りました。実際に摩耗したドリルでは60℃以上の熱が発生し、貫通までに10秒以上かかりました。軟部損傷、骨壊死を起こすと骨癒合は図れず治療は長期に渡り、患者のADLは低下してしまいます。単回使用のドリル先が摩耗していることはまずないと思いますが、複数回使用するドリルでは看護師のチェックが非常に重要で、上記のようなことを防ぐことができると思いました。

2日目以降は座学‐グループワーク‐Practical exercise(実技)の流れで行われました。 グループワークでは手術室の安全管理、各骨折の術前/術中準備などをディスカッションしました。各々の施設で使用している器械や、当院にはない便利な整復器械などを知ることができました。また、手術を行う患者に必要な情報収集、術中の耐圧分散、保温、スムーズな器械出しができる工夫などを聞くことができ、非常に参考になりました。牽引台を置いてない手術室での下腿骨接合手術の話しは衝撃的でした。Practical exerciseでは座学、グループワークで得た知識をもとに医師と直接介助の役に別れ模擬骨に対し、内固定、創外固定、髄内釘を実際に挿入しました。医師役の際に必要な器械がすぐに手元にくればそれだけ円滑に手術が進むし、精神的にも余裕ができることを実感しました。そのためには手術の手順だけではなく、術中の透視画像も読めるようになる必要があると学びました。医師は看護師を信頼して手術を行っていると聞き、器械、インプラントのサイズ間違いに注意しなければならないと再認識しました。

1日目の講義の中で、ユニバーサルドリルスリーブをスクリューホールに対し、圧迫をかけると中和性、圧迫しなければ偏心性と聞きましたが、よく理解ができていませんでした。しかしPractical exerciseで実際に使用してみて、ホールに対し圧迫をかけると中心にスライドすることを体験でき、すぐに理解できました。講義で学び、実際にしてみるととても理解しやすいと実感しました。理解できると何より楽しいし、もっと知りたいと思うようになりました。研修の翌日、早速骨接合の手術があったので、研修での学びを振り返りながら器械出しをしました。LCPはプレート仮固定後コンベンショナルスクリューを打ち、ロッキングスクリューを打つと学びましたが、その手術(橈骨遠位端骨折)では遠位ロッキングスクリューを打った後にコンベンショナルスクリュー、近位ロッキングを打っていました。医師に聞くと【コンディラースタビライジング法】と説明されました。 基本原理とは異なる手順ですが、応用もあるのだと感じました。応用を知るにはまず基礎を十分に把握する必要があるため、本研修で学んだ基礎原理を踏まえて知識と技術の拡充を図っていきたいと思います。

最後になりますが、3日間当コースに携わって下さったスタッフの皆様、グループワーク、Practical exerciseで関わった受講生の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。