AO Trauma Course – Masters Kobe, 2018/2/15-18 普久原 朝海先生 (新潟大学医歯学総合病院)

2018年2月15日~17日に神戸で開催された、AO Trauma Masters Courseに参加しました。定員40名のMasters Courseは日本で5年ぶり2回目の開催とのことで、参加者は日ごろ整形外傷系のセミナーでよくお会いする熱い志を持つメンバーばかりでした。ラウンドテーブルが4つ配置され、最初からグループ分けされており各グループのテーブルに着席します。
Masters Courseは3日間で10テーマが設定されており、1日目①脛骨近位部骨折②Pilon骨折③足部損傷(踵骨骨折・距骨骨折・リスフラン関節損傷)④合併症および重度四肢外傷、2日目⑤肩および上腕骨近位部骨折⑥肘関節周囲骨折⑦前腕骨骨折、3日目⑧橈骨遠位端骨折およびDRUJ損傷⑨大腿骨近位部骨折⑩脆弱性骨折および人工関節周囲骨折の構成でした。
テーマ毎に10-15分の講義が4-7コマ、1テーマにつき70-95分の構成でした。要点がまとめられたコンパクトな講義は無理なく集中できる時間設定でしたし、海外Facultyの先生方も聞き取りやすい発音とスピードを心がけて講演してくださいました。

さらに「Breakout Discussion」という、FacultyのCase presentationに対して討論する時間が45-55分×10テーマ分設けられているのがMasters Courseの一番の特徴だと思います。参加者は10人1グループで合計4グループに分かれて討論します。このGroup Discussion、日本人は控えめで発言が少ないと言われていますが、そこはさすがMasters。皆さん第一線で治療されている方が多く「提示されていないが関節内に骨折はなかったのか?」「軟部組織の状態はどうだ?」「このような治療戦略ではどうか?」「もしFacultyの先生のところに最初から搬送されていたらどのような固定をしたのか?」など多くの議論ができました。また日本人Facultyの先生方が、参加者が日本語である程度Discussionしたまとめを海外Facultyの先生に伝えなおしてくださるなど、できるだけ議論を活発にしようと努力していただいたおかげで、Discussion内でしっかりと疑問を解決できたことがとても有意義でした。

Principles / Advanced Courseと異なり、講義やDiscussion中に明日からの診療に直結するTip & Pitfallや最新の知見を聞けたり、Expert OpinionやSpecial techniqueを知ることができたりするのもMasters Courseの魅力です。例えば「偽関節に対しアメリカの喫煙者の髄内釘入れ替え単独の癒合率は50-60%と低いので、最初から骨移植を併用する」「骨欠損のある骨折を、脚長を保ったままMIPOでPlate固定をしたのちに、Bone Transportを行うことで創外固定装着期間を短くできる」など、Evidenceを踏まえたうえでさらなる臨床経験を融合させた内容は、さすが世界で活躍されている先生方だと感服します。タイのBavonratanavech先生は講義で紹介した上腕骨近位部骨折手術を正確に遂行するポイントについてのご自身の論文をメールで送ってくださり、ドイツのHöntzsch先生からは創外固定法のまとめのポスターを頂き、自施設に戻って早速後輩に紹介しました。

私は5年前の第1回Masters Courseにも参加していたので、2回目となる今回の参加を正直迷っていました。しかし今回参加して、5年前の自分は講義の内容を理解するのに精一杯で議論に参加できていなかったということが分かりました。この5年分の自分の成長と足りない部分が認識でき、同時にそこで初めて見えてくる疑問点もあり、それをDiscussionで直接Facultyの先生に聞くことができたことは、明らかに前回の参加より得られるものが多く有意義でした。またDiscussionで直接Facultyの先生方と話すことで、先生方の今までの経験や情熱そして哲学などにも触れることができ、自分のモチベーションアップにもつながりました。これは講義だけでは得られにくいことだと思います。とにかくDiscussionが楽しく充実していました。そしてDiscussionを通して一緒のグループの先生方と横のつながりもでき、連日朝から晩まで8-10時間勉強というハードスケジュールではありましたが実りある3日間でした。「一度じゃまだまだ、二度目で納得。三度食べれば病み付き」という某ラーメン屋の言葉がありますが、また参加したいと思うコースでした。

最後になりましたが、Chairpersonの澤口先生をはじめInternational Faculty、 Regional Faculty、Local Facultyの先生方、また開催にご尽力されたAO Trauma Japanの皆様に御礼申し上げます。